夜になったってオレのもやもやが消える事は無かった。根本が解決されてないんだから仕方ねえんだ。
今日の分の勉強も終わらせて、やっとベッドに横になる午前一時。暗い室内に眠気も増してくるが、それ以上に甘く邪な想像も湧いてくる。
昼間の仮定の続きだ。ロイさんが、実はもっと意地悪で腹の中で何を考えてるかわからないような人間だとしよう。こっちの気持ちにも気付いてて、焦らす言葉を投げては目の前で踊りまくるオレを見てほくそ笑む……考えれば考えるほど有り得ねえなって思ってるけど、今回はそういう設定で。ちょっと気に入ったのでこのまま進めてみたい。
目の前で見せ付けるようにネクタイなんか外しちゃって。オレの事見下ろして薄く笑みなんか浮かべちゃったりして。室内なのに何故か革靴なのはちょっとしたイメージです。眼鏡もいいね、理知的なあの人に似合わない訳が無い。
『おいで、エドワード』
おいでなんて言われて手招きされたら、悩む間もなく秒で飛んでくに決まってる。ロイさんは椅子にでも座って脚組んでて下さい。何故かオレはロイさんの足元にしゃがんでるイメージ。オレは貴方の愛の奴隷です!。さあ、なんなりと!。
『ほら、私の言った通りに』
『エドは私の事が好きなんだろう?』
『…そう、いい子だ』
意味深な言葉が幾つも過ぎる(言わせたいだけで、伴う具体的な動作までは考えてない)。筋張った大きな手が、オレの頬をゆっくりと撫でる。喉を撫で、耳を掠めて離れる。もっともっと触って欲しい。そしてオレもあんたに、
『私に…触れたいのかい?。悪い子だね、エドワード』
うわー!わあああ〜〜!。これはヤバイ。とんでもなくきた。勝手な妄想なのに威力が高すぎる。興奮で脚がぱたぱたする。色々考えてると加速して妄想が止まらない。連日のクーラー攻撃で冷えすぎた体も一気に熱を戻す威力だ。
想像じゃなくて本物のロイさんのあの手に触れたい。体にだって触りたいし、触って欲しい。オレの気持ちは本物だ。だって、相手は三十路のおっさんなのにこんな事まで考えられるんだから。
他の人じゃ駄目なんだ。やっぱりロイさんはオレにとって特別な人なんだ。
(あー、やべ…)
体に溜まる熱にごろりと寝返りを打って、内股を擦り合わせる。火照った体を収めるには方法は一つしかない。
男同士でどうやるのかは、興味本位で調べたからなんとなく知っている。女役はケツの穴に入れられるらしいが、皆が皆そういう事をしている訳でもないみたいで少しホッとした。想像力の逞しいオレでも、その上を遥かに越える行為は流石に怖い。
その他は普通に出来るような内容だった。主にお互いを触ったり舐めたり。気持ちの赴くままいちゃいちゃしてればそうなりそうだ。というかしたい。
ロイさんさえ良ければ、オレらは愛を育んだり確かめ合ったり出来るって事だ。そう、ロイさんさえ良ければ。それが一番の問題で根本なんだけどな。
オレの想像の『ちょっと意地悪なロイさん』は、とてもけしからんので暫く夜のお供になりそうだ。似合いすぎるしエロすぎる。そして大好きすぎる。今度、メールじゃなくて電話かけてみようかな。声聞いたらまたちょっと選択肢が増えるかもしれない。
まるで白馬に乗った王子様の如く清廉潔白なロイさん。それをアレンジして興奮してる変態のオレ。ロイさんだって男なんだから夜のオカズが当然必要な筈なのに、そんな素振りが見えない所が胡散臭く思えてきた。そうだ、不自然だ!。不自然に爽やかすぎるんだ!。若干言い掛かりに近いが、そういう言い訳をくっつけて妄想の中で一人好き勝手にやらかす。ロイさんもちょっとくらい変態だったらいいのにな。オレなら大抵は受け入れてやれると思うんだけど。でも、赤ちゃんプレイとスカ○ロは無理なので、やっぱり相談は大切だ。
ロイさんがちょっとだけ変態でありますように。今年の七夕にそう書けば良かったなあなんて考えてるうちに眠くなってしまった。性欲が睡魔に負けそう。どちらも気持ちがいいから困るんだ。
ああ、だめだ。ロイさんをオカズにするのはまた明日の楽しみだ。『言葉責めが似合う意地悪なロイさん』は、カテゴリーとしては『誘惑の女教師』とかと似通ってると気付いたが、オレの気持ちが萎える事は無かった。新たに新ジャンル、『ロイさんが教師、二人きりのドキドキ課外授業』というタイトルのレパートリーが増えたからだ。眠気と戦う頭の中は、思考が斜め向こうに飛んでいく。ロイさんなら軍人とかもエロくねえか?とか、訳のわからない所まで進んだ辺りでオレの意識はぷつりと途絶えた。
再録本にのる頃にはもちょっと変わってるとおもいます。
日記サイズに切れたらまた載せます!。