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031五段目

本日は記念すべき日だ。なんと、一緒にアイスクリーム屋に通い始めてから、初めてロイさんがコーンで頼んだんだ。

オレは先に注文を終えて、席をおさえてロイさんを待っていた。バナナアンドストロベリーと、キャラメルリボンのレギュラーダブルは、高校生男子にはかわいすぎた取り合わせだろうか。
そこへ、キャラメルチョコレートチーズケーキとレモンシャーベットという混ぜたら危険な組み合わせを、レギュラーダブルのシュガーコーンに乗せたロイさん登場。

「あ、え、珍しいね」
「選べなくて、つい」

コーンかカップかの話題をしているつもりだが、相変わらずちょっとずれているロイさん。少し照れてる姿がたまらなくて話題のずれはどうでも良くなって、会話をそちらにシフトさせる。

「シャーベットも食べるんだ」
「そんな気分でね。あと、君がコーンで食べてる姿があまりにもおいしそうだから、今日は真似してみた」
「うん、コーンの方が『アイスクリーム!!』って感じしねえ?」
「やはりイメージはそうだよな」

黄色い球体に歯を立てる姿は、いつもの優しい雰囲気からは想像できなくてドキドキしてしまう。ロイさんの食べっぷりは意外にも男らしい。あー、オレもレモンシャーベットになりてえー。黄色いって点では似通ってるんだから、ちょっとくらいは代わってくれたらいいのに。
自分の分を順調に味わいながら、ロイさんと雑談しながら、更に視線はロイさんの口元手元に釘付けになる。オレってこんなに器用だったのか、それとも最重要事項に併せて短時間のうちに進化したのか。恋ってすげえな。

「…あ、一口食べたかったか?」

俺の視線を勘違いしたみたいだ。スプーンを貰いに行きそうな雰囲気だったので、身を乗り出して口を開ける。せっかくのチャンスを逃してなるものか…!!。
そっと差し出されたアイスクリームを、ロイさんの手ごとそっと握って押さえて(オレが単に触りたかっただけ)、直に一口かじる。ロイさんは随分とオレに慣れてくれた。

「オレもシャーベット系は久しぶりだ」
「私も、ついシーズンフレーバーばかり頼んでしまうから」

レモンの甘酸っぱい刺激が口の中に広がる。やっぱりレモンてのは初恋の味なんだろうか。今ならその臭いセリフに同意してやってもいい。
ロイさんは俺のこと「人の物を欲しがる意地汚い子供」だと思っているかもしれない。しかし、邪で純粋な思いを一途に貫き通すには、それくらいのマイナスイメージだって厭わない。目的の為なら手段は選んでいられないんだ。

「君のイメージだな」
「え?」
「レモンシャーベット。だから食べたくなったのかもしれない」
「色?」
「そうかもね」

平静を装うが、心拍数は一気に上がった。な、な、なにそれどういういみでしょうか…!!!。
似てる色だからと食べたくなるのなら、俺の学校指定のカーディガンは薄茶だし、ジャモカコーヒーって可能性もあった訳だ。そこへ俺の髪の毛の色を持ってくるなんて、しかも食べたいだなんて!。食べてくださいもちろんオレごと遠慮は一ミリも要りませんよ!。期待は一気に膨らんでアイスの味すらわからなくなる。

「なあ、ロイさんは」
「おっと」

ロイさんの呟きが早まったオレの言葉と重なる。コーンに馴れていないロイさんのアイスは端から垂れて、長い指を横切って伝う。それを追うように伸ばされる舌先。

「いかんな。ダブルのコーンは食べるコツは必要みたいだ。すまない、何か言いかけていたよな?」
「…いや、何も。どうぞごゆっくり」
「ごゆっくりって。ゆっくりしたからアイスが垂れてしまった」

なんかいいもの見た。ドキドキで血流が良くなって、今ので沸騰した。なんて色っぽいんだろう。舐めてる姿もいいが、むしろオレがアイスクリームごとロイさんの指を舐めたい。
笑いながら席を立ち、ロイさんはペーパーナプキンを持って戻ってくる。君は器用に食べるから私は油断してしまったとか、そんな話をしていると思うんだけど、オレの脳内にはさっきの艶めかしい一瞬が繰り返し再生されている。

「……ごちそうさま…っ!!!」
「?、ああ、ごちそうさま」

アイスもごちそうさまだけど、ロイさんもごちそうさまでした。




何度おんなじネタ書いても楽しいです(笑)ほもごちそうさまです(*´`*)
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