白い雲の上の青い空を、君が美しいと思うのは、きっと故郷に似ているからだ。羽根のあるものしか辿り着けないそこへ、いつか君は帰ってゆく。
 もしも、あまりに中身が無さすぎて、風に飛んでしまうくらい軽ければ。いつか何かの偶然に、何億分の一くらいの確率で、そこに僕も、流されてゆけるかも。あるいは、翼さえあれば、白でも黒でも構わない。
 僕が本を読まない理由と、真面目に椅子に座らない理由を、君に答えられなかったのはそういう訳なんだけど、屋上にいる僕の隣に君が必ず並ぶ理由を、もしも君に聞いたとしたら、君は答えてくれるのだろうか。