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風が夜を攫ってゆく波に、猫の呼び声は木霊する。降りるよすがの黒い目印を、帳の余韻に変えてゆく。君が言葉を失くしても、同じリズムで眠れるように。ペンが止まってしまっても、紙だけ続いて仕舞えるように。

465

乱れた湖面に蜘蛛が巣食う。弾けた空がジュースに落ちる。誰かというのはどこにもいない。ひとりだけだ。世界が、どこまでいってもひとつしかないように。

464

布より空気が体に近い。骨と脂肪がぶつかり合う。いつか眠るために生きている。命は、逆へ進むことを繰り返す。全ての方位を網羅しようとするように。

463

現実が現実であるという、ただそれだけで愛おしい。色の衣を脱ぎすてた先に、凛と座る地面がある。水槽に詰めた温度が、黒板の夕陽と同じ古さで、4時の時計に手まねきしている。灰色の休日からの、帰り道の夜のことだった。

462

増えすぎたこと。近すぎたこと。それだけが原因だ。透きとおった水晶玉が、詰め込まれてぶつかり合う。ひび割れて、悲鳴が鳴る。だから、減っていく方に作用する。それだけの話。
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