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無くなっていった時間と手に入れた思い出とを天秤にかけたら、どちらに傾くだろう。時間は過ぎていくことが大切で、経験は得ることが大切だ。それでもやはり取りこぼしてしまう時間もあって、だからヒトのフィルターごしの記憶よりも実際に経った時間の方が、ほんの少し重い。それでもヒトは、現象を消費して心のかたちを埋めようとした。いびつでも、自分たちで精神を支えたいと思ったのだ。

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今日の終わりに、あなたの絞りかすが泣いている。彼らは眠って目覚めると消えている。そのおかげで明日も歩いてゆけるけれど、その道の途中で今日のあなたというものは確実に取り落とされてゆく。誰かがいなくなっても泣けなかったこと、ほんの小さなことで笑えたこと。ごみと宝物が両方とも細かくて光るものならば、いなくなった昨日のあなたもまた、消える明日を知っていた。

121

時間を、今よりももっと限りある物質として捉えてみる。何かを違う角度から見てみるだけで、世界は変わる。逆に言うなら、世界を変える方法はそれしかない。部屋を半分散らかす人がいるとしたら、その人は倍の広さの部屋に引っ越したとしても、その部屋を半分散らかす。夏休みの宿題を終わらせられない人は、一番大切なことをやりとげられないかもしれない。まだ時間はある。読むよりも書くほうへ。見るだけよりも、作るほうへ。本当にそれだけで、世界は変わる。

120

全体がどうしても見えないように感じるのは、途中だからだ。一番最後に振り返ってみて初めて、これで良かったと安心することができる。けれども歩ききった時には、あなたは振り返ることへの興味を失っているかもしれない。その時にはきっと、その先の景色が見えているからだ。世界の広さは果てがない。その広さに、あなたの感受性を掛けた無限通りのフィルムがここにはある。

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水は形をかえる。球体になったり、王冠のようにはねたり、波紋を広げたりする。音と光を通し、世の中のあらゆるものを洗い流す。自然、コンクリート、感情など。水は透明で美しく、色々な姿、色々な場所で人々を癒し、意思を持たない。人間が水のように生きようとしたならば、美しいけれど苦しいだろう。色々な愛のかたちがあって、あるところでは呼吸を奪うような力のように見えても、あるところでは上手に息をさせてくれる優しさに変わったりもする。あなたが知らずに救った誰かは、今日も何処かで生きている。
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