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プロローグ〜暗闇でダンス

誰か

私を

助けて






闇が身体を包み込む。


まるで生き物のように纏わりつく闇。


悲鳴をあげようと開いた口の中にも、容赦なく入り込む、ねっとりとした闇。


闇は体内を巡り、蓄積される。



闇に侵される身体。

闇に侵される体内。

闇に侵される…



私のココロ。



助けて


かき分けるように、両手を差し出す。



ここから出して
















誰…?





そこにいるのは

誰?




助けて…





闇を割って差し出されたのは、白い手。





こちらにおいで





誰?





躊躇する私の目前に差し出された手は…





とても綺麗だった。





おいで





私は恐る恐る差し出された手に触れる…。





!!





私はまるで電流に触れたように、ビクッと身を震わせて、手を引いた。





何て冷たい手…





氷のよう


血がかよっていない、死者の手のよう





さあ、おいで





あなたは誰?


私をどこに連れていくの?





さあ、おいで











ハーミリオン










私は思わず一歩後ろに下がった。





なぜ、私の名前を知ってるの?





ハーミリオン


美しい人


さあ、おいで





違う!


私は激しく頭を振る。





私はそのハーミリオンじゃない!


私は美しくなんかない!

美しいのは、彼女


私とは違う





彼女





貴女だ、ハーミリオン


貴女が必要なんだ





必要?





そう


貴女が必要だ


ハーミリオンを救う為に

貴女が必要なんだ





ハーミリオンを救う為に?





そう


ハーミリオンを救う為に

貴女の
















血が


肉が


骨が


全ての組織が


取り分け、その美しい瞳が





必要だ





私は目を見開く


私の血が


私の肉が


私の骨が


私の全ての組織が


そして





私の瞳が





そう


その美しい


緑色の瞳が


必要だ


さあ


おいで












!!





不意に私の手は掴まれて引き寄せられた。





ひい!





怖がらないで


ほら








私を引き寄せ、優しく抱き締める腕。





え……










私は

この腕を

この胸を

この人を











知っている……










不意に彼の唇が、私の首筋に触れる









あ………










体が動かない


首筋にかかる息











恐怖が迫ってくる











ヴァシュア……











!!









次の瞬間、私は暗闇に投げ出される




足下には何もない




落下していく体




堕ちる…

堕ちる…

堕ちる…









後から追いかけてくる声……












「私は彼女の心が欲しかっただけなんだ」





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プロフィール
月乃みとさんのプロフィール
性 別 女性
誕生日 12月15日
系 統 普通系
血液型 O型