〜暗いVer〜



それは、突然訪れた崩壊。


「ごめんね、母さん」

俺、もう使い物にならないみたい。
そう言って、悲しげな笑いを浮かべた、目の前の紫。
見渡す限り真っ白な空間で、ボロボロで横たわっていた。

「良いよ、執行部でいられなくても構わない」

だからいつもみたいに笑って俺の傍にいて。
そう必死に言うけれど、

「ごめん」

一つ、蒼いパレットから色が消えた。



「時間がきてしまったみたいだ」

もう、戻れなくなってしまった。
そう言って不自然なくらい明るく笑う、目の前の黒。

「ははっ、俺さ、最近人を壊すのが楽しくてしょうがなくなっちゃった」

これじゃただの化け物だ。
だから、完全に壊れてしまう前に、最後の挨拶に来たんだよ。

「可笑しくなっていても構わないから」

だから俺の前からいなくならないで。
そう必死に引き留めるけれど、

「ありがとう」

また一つ、蒼を飾る色が消えた。



「どうしようもなかったんだ」

ごめんね、何も出来なくて。
そう言って、泣きそうな顔をした、目の前の紅。

「外国に、行かなくちゃいけなくなって」

もう一緒にはいられない。
もう会えないかもしれない。

「どれくらい先になっても構わない」

だからまたねって言って。
そう必死に再会の約束をしようとするけれど、

「今まで楽しかったね」

もう一つ、蒼に寄り添う色が消えた。



そうして、たった二人になってしまった。

「生徒会室って、こんなに静かだったんだね」

「…そうだね」

つい最近まであった筈の賑やかな日々が、まるで夢であったかのように。
掌の上に確かにあったモノは、一つ、また一つとこぼれ落ちていく。

「それでも俺は会長だから」

頑張って立ち続けていなければいけないんだ。

「じゃあ、」

倒れそうな時は、俺が支えてあげるね。

そう言ってくれた君が居たから、俺はまだ踏み止まっていられたのに。


「ねぇ、何で?どうして、兄さん…」

掴もうとした彼は、しかしまたこの手をすり抜ける。

「…さよならだ、」

これじゃあまるで、世界に一人ぼっちだ。



君しかいないのに
(君も置いて行くんだね)
(そうして蒼一色が暗闇に取り残される)



まとめるつもりが大分長くなったよ…。
そして一番暗い…かな?(←)
会長さんはメンバー全員関わらせたくなるんだよね。
ちなみにこれは「君は素敵な」の明るいVerに続く予定。

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