〜暗いVer〜



「…こんな所に連れ込んで、一体何の用かな?」

人気のない教室には、一人の男子生徒と一人の女生徒が立っていた。

「手紙、受けとってくれたんですね」

「下駄箱に入れるなんて随分と古風なやり方でね」

嬉しそうな女に対して、穏やかに答えてはいるものの、どことなく隠せない棘がある。

「それで、用件は手短に頼むよ」

女は恥ずかしげな様子で言った。

「貴方が好きなんです、って言ったら信じてくれます?」

そうして近付いて伸ばしてきた手をはらう。

「…それで?君は俺に何をさせたいのかな」

すると、これまでの恥ずかしげな様子が一変。
ニッコリと楽しそうに笑った顔になる。

「酷いですね、企んでるなんて…」

でも、と呟き告げる。

「正解です、貴方が賢い方で助かりますよ」

「一応聞いてあげるよ、何が望みだい?」

「生徒会が持ってる生徒の極秘データ、それから三日前に執行された生徒への謝罪ですよ」

「断る、くだらないな」

極秘データの譲与なんてとんでもないし、執行に関しては相応の理由がある、謝罪なんてありえないね。

「良いんですか?そんなこと言っちゃって」

「…どういう意味?」

「実は今バラバラになっているメンバー皆さんに、外部から大人数の刺客を向かわせてある、って言ったら?」

「ありえないね」

うちのセキュリティはそんなにボロくないし、何よりうちのメンバーはそんなに甘くない。

「そんなのは嘘だ」

そう、頭では理解っているのだけれど。



信じたりしないのに
(それでも不安が捨て切れない)
(どうして心が揺らぐの)



シリアス書きにくいよね、碧さんも。
どうしてもギャグかほのぼのにしたくなるというね。
だから暗さは控えめです。

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