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僕が生まれた日

第三段はアオイ×アユト。
一応ラスト。
アユトがアオイにこだわる理由的な。
3つ書いて、書けなかった関係はまた別の機会に書けたらいいなー、とは思う。
しかし3つとも纏まりのない文章になったなぁ…。



「ねぇ、キミ、名前は?」
…ないよ、名前なんて、化け物には必要ないからね
「誕生日は?」
ないよ、人生で1番忌まわしい日なんて覚えていたくもないってさ
「…ね、生きたい?」

果たして今生きているなんて言えるのだろうか。
ここでひたすら時間が過ぎるのを待っているだけ、これじゃあ死んでいるのと変わらない。
心臓が動いている屍みたいなものだ。
でも俺は自分で命を絶つことも出来ない。
手が動かせないから?違う、違う、俺は…
「…たい…」
「うん?」
「生きたい…っ」
目の前の神様は笑った。

「じゃあ…俺から君にプレゼント」
「今日からキミはアユト、アユトだよ」
名前って、この世界で一番短い呪い(まじない)なんだってさ、俺はアオイって名前がつけられて初めてアオイとしてこの世に存在できるんだって。
知り合いの陰陽師が言ってたんだ。
「だから今日が君の誕生日だね」
おめでとう、俺は生まれてきたその存在の奇跡に心から祝福を贈るよ

「…何だ、これ」
どうしよう、困ったな、目から流れるものが止まらない、ねぇ、君、止め方を教えてくれないか
そう言うと君はそっと微笑んだ。
「それは君が人として生きている証拠だよ」

君が涙を教えてくれた
笑い方を教えてくれた
存在する意味をくれた
抱えきれないほどたくさんのモノをくれた君だから
今度は俺が君を護るって決めたんだ


『僕が生まれた日』

(君と出逢ったその時に)
(初めてこの世界で息をした)

…あぁ、眩しいな。



アユトにとってのアオイは神様みたいな存在。
誰とも関わらない自分に全ての初めてを与えてくれた人。
だから誰よりも執着する。

アオイにとってのアユトは初めて自分の手で救った存在。
村のために死ぬまで祈ったって誰も救えないと分かっていたから、確かに自分が掬い上げたアユトは自分が護らなくてはいけないものが目に見える形で表れたもの。
あと、自分は何もせずに息をしてるだけなので、必死に生きようとしてるアユトに憧れのようなものを感じている、みたいなのがあったりなかったり。

歪な愛の行き先は

第二段はアキラ×クロス×??
シリアスというかもはや病んでる。
純愛を書こうとして無理だった。



気付いた時には傍にいた。
何をするにも一緒で、とにかく何でも共有していたかった。
嬉しいことも、悲しいことも、楽しいことも、辛いことも。
二人で半分こだね、そういって傍にいる君が特別になるのは必然だった。
この先もずっと一緒なんだって、馬鹿な俺は根拠もなく信じこんでいたんだ。

喪うことになってようやく気付いた俺はなんて愚かなんだろう

お前を身代わりにした俺を、お前を助けられない俺を、どうか許さないでくれ

「…許さないよ、」
幸せにならなくちゃ、許さないから。
私、本当にアキラに出逢えて良かったわ。
だから、アキラも私と出逢ったことを後悔なんてしちゃ嫌だよ?
さよならアキラ、今までありがとう

「待ってくれ、死なないでくれ、俺はお前に伝えたいことがあるんだ
なぁ、ユキ、俺は、俺はお前を愛して…っ」
アッちゃん、大好き
「ユキ…ッ、ユキーッ!!」

最期に見たその笑った顔がとても綺麗で、泣きたいくらい愛しくて、そしてどうしようもなく哀しかった。


俺は君を忘れたことなんて一度もない。
「ねぇアキちゃん」
嗚呼、だからお願いだ。
「どうしてわたしはしななくちゃいけないのかな」
アイツとよく似たその顔で、
そんな事言わないでくれよ


「俺はあの人とは違うよ」
「そうだな、お前はユキとは違う」

俺はあの人みたいに一族、村のために死んでやるなんてごめんだ。
死ぬ時は一族を末代まで呪ってやる。
繁栄の代わりに滅亡を。
恵みの代わりに澱みを。
…ごめん、アキラさん。
せめて貴方だけは笑っていて。

今度こそ死なせたりしない。
必ず護ってやる。
例え、他のどんなものを犠牲にしても。
二度と俺は大切なものをこの手から溢したりしないから。

…嗚呼、もう面倒だ
いっそ全て壊してしまおう


『歪な愛の行き先は』

(愛を亡くした青年と愛を忘れた少女の哀(アイ)は)
(唯々暗闇に彷徨うことしか知らない)



クロスにとってのアキラは世界そのもの。大嫌いな世界で自分の中で大事と思うものだけで作った狭い世界の一部。そして可哀想な人。置いていってしまうことが分かっているから複雑。

アキラにとってのクロスはたった一つ自分に残ったもの。ユキと同じように死なせないためにどうにかしようと思ってる。村どころか世界と天秤にかけても平気でクロスを選ぶ程度には狂ってる。

ちなみに親友+一族は実はこんな設定だった。
ユキ…春宮斎月(はるみやゆき)。クロスの父親の歳の離れた姉の娘。つまり従姉妹。だから少しだけ似てる。
陰陽師一族は強い力と濃い血を残すために親族間で結婚している。一族には雲雀、藤堂、春宮、神城(かみしろ)の4つの家があって、陰陽四家と呼ばれる。

風と鳥の出逢う夜

テイルズパロ設定のシリアス小説3連チャン企画。
第一段はシノ×アカネ。



とある月明かりが細々と道を照らす夜。
その少女は暗い道に一人立ち尽くしていた。

初めて自分の意志で踏んだ世界は、あまりにも広かった。
狭い狭い鳥籠に慣れた鳥が、翔ぶのを躊躇ってしまうくらいに。
あれ程までに焦がれた外なのに、いざとなると足が動かない。
どこに向かえば良いのか、分からない。
先の見えない暗闇が恐ろしい。
ふと、思い出した言葉。
『よくお聞きなさい、私の可愛い娘』
外の世界にはね、

「ねぇ」

『マモノガスンデイルノヨ』

「………っ!!?」


それは、一人の少女だった。

「君見かけない子だね?」
最近この村に来たとか?いやそんなわけないか。
こんな引きこもりの村に外部の人間なんて滅多に来ないもんなー。
綺麗に笑ったのは初めて見た紫色。
「あの…」

貴女、人間?

少女は爆笑した。
ひとしきり笑ってようやく落ち着いたようで、涙をぬぐって答えた。
「勿論、人間だよ…この村は魔物が入れないようになってるのさ」
神様の御加護ってヤツ?
何故か一瞬無表情になった気がした。

「あ、俺はシノ、君の名前は?」
答えようとしてハッと気付く。
私、さっき、声を出してしまった…?
力なく首を横に振るとシノは首を傾げた。
「教えたくない?」
違う
「名前ない?」
違う
「…喋れないの?」
頷いた。

「でも、さっきは喋っていたじゃないか」
もう一度首を振る。
「…俺には声を聞かせる価値もないって?」
「…がう、違う!!」
私と話したと知られたら、貴女は酷い目に遭わせられる。
私の声は人を不幸にする。
そう掠れた声で叫べばシノは満足そうに笑みを深めた。
「そんな綺麗な声が、不幸を呼ぶわけないだろう」

だから、どうか君の声で、名前を。
「…アカネ、です」

この世界には汚いものもたくさんあるけれど、同じくらい美しいものもたくさんあるよ。
だから、清い君に綺麗なものをたくさん教えてあげる。

「さあ、一緒に秘密の冒険をしよう!!」

出逢う筈のなかった二人の秘密の会瀬は、ただ月だけが見ていた。


『風と鳥の出逢う夜』

(閉じられた鳥籠の中に吹いた紫の風は)
(紅の鳥を乗せ空へと翔る )



シノにとってのアカネは自分の分身。勿論性格も育ちも事情も顔も何もかも似てないけれど、人より世界を知らないアカネに自分の知っている世界を教え込んだ。いずれ村を出ていかなくてはならないから、自分の生きた証みたいなものとして残していきたい、みたいな。

アカネにとってのシノは初めて自分で出逢った人。物心ついて割とすぐに家に閉じ込められていたために、今まで殆ど人に関われなかった。それで脱走して初めて会ったのがシノで、この後もシノに色々教えてもらいシノを通して世界を見ることになる。
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