昨日の続きです


ロイさんは男前だが、ちょっと疲れてやつれた姿すらも男前とは驚いた。今のオレにはフィルターがかかってんだと自覚してるけど、久しぶりに見るときらきらしてる気がする。もちろん気のせいなんだけど。

とりあえず、アイスを頼んでいつもの席へ。この店の良いところは、いつもほどほどに空いてる事とお姉さんが親切で優しいところ。もちろん、アイスが美味しいのは当然だ。

「すまないね、なかなかメールもままならなくて」
「仕方ねえよ。忙しくて疲れてる時は、早く寝るのが一番だ」
「…あー、久しぶりに甘さが染みる」
「食べてなかったのか?、アイス」
「君と食べようと思ってたから」
「どうせ、一人で食べるのが恥ずかしいんだろ?」
「まあ、いいじゃないか」

軽く返しながらも、心臓はばくばくしている。口説かれたああああ!。ロイさんに直球で口説かれましたああああ!!。心の中では力いっぱいに叫んでいるが、顔には出さないよう堪える。何て返すのが良かったんだろう。はいもちろんオレもです結婚してください!とだろうか。急すぎないだろうか。
ロイさんは目の下を薄く隈で濁しながら、幸せそうにアイスを食べている。本日はチョコレートファッジシュープリームとキャラメルリボンをカップで。最近はオレもカップなんだ。ロイさんに合わせてゆっくり食べて長い時間一緒に居たいから。
それに、ピンクのスプーンには素晴らしい使い方もあるしな。

「ハワイアンクランチも美味いよ」

ココナッツのアイスを掬い、スプーンを口元へと差し出す。ロイさんはそれをためらわずパクリと口に含む。

「いいな。次はこれにしよう」
「こっちはコットンキャンディー。甘いよ。ほら」
「綿飴だからな。…本当だ。甘い」

雛に餌付けをするように、ロイさんに食べさせる。最初は戸惑ったりスプーンを受け取ったりしていたが、今ではすっかり馴れてくれてる。ああ、何という至福のひととき。恋人みたいにイチャイチャで、しかも間接キスだろこれは(そうだとオレは思っている)。
ハワイアンクランチとコットンキャンディーという取り合わせは、ロイさんがまだ食べていないこと(味見含む)を見越しての選択。どうだこれくらいの計算はできるんだぞ。

「もう一口欲しい」
「はいよ」

ハワイアンクランチをお気に召したロイさんがおねだりするので、自分で掬う前にオレのスプーンで差し出す。再びパクリ。スプーンをくわえる前の、伏し目がちに口を薄く開いてアイスを追う一瞬が堪らなく好きだ。ロイさんはあんな顔してキスすんのかな。オレとはしてくれねえかなあ。

「会社の近くにあればいいのにな、サーティワン」
「店が無い上に、次に近い所は席が無いからな。ここがいいよ君もいるし」
「オレはいつでも来るよ。あんたが呼んでくれればいつでもどこでも」

やっぱり口説かれてるよオレ!。どうしたんだろオレへの愛に目覚めたのかな。もしくは、疲れてるからガードが緩くなってるとか。弱らせてから叩くのが狩りの基本って言うけど、今こそ叩くべきなのかな。
勇気を出して手を伸ばす。ロイさんの頭を、いいこいいこと撫でてみる。

「無理してもいいけど、倒れんなよ」
「ありがとう。…甘やかされてしまったね」

よし、嫌がられなかった!。初めて髪の毛触った!。さすがにちょっと照れたらしく、またアイスに集中している。そんなロイさんに顔がにやけそうになる。

「夕飯はどうしようか。また時間があるなら一緒に食べてくれるか?」
「その『食べてくれる』とかよせよ。他人行儀でいやだ」
「すまない。ではどこへ行こう、何が食べたい?」

飯より何よりアイスが先。お腹満たすより、アイス屋でロイさんといちゃついて心を満たすのが先。今日は充分に潤ったから、たくさん食うぞ。
店を出るときに、いつものお姉さんが何かいいたげな顔してたから、また来ます!と明るい挨拶を残してきた。わかってるよ店内でいちゃつくなって言いたいんだろ?。でもここのお店は居心地が良いのでまた来ます。またロイさんといちゃつきます。そんなわけでホモですが宜しくお願いします。




店員さんになりたいなあと思いながら書いてました。
いちゃいちゃたのしいいいい!(*´`*)