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麗しのスノー・ホワイト

※普通っぽいロイエドです。多分。



人が誘惑に負けてしまうのは、仕方無い事なのだよ。
天使はあれほど清らかで正しく道を示してくれると言うのに、何故、人は醜い悪魔に負けてしまうのだろうか。それはやはり、悪魔の提示する内容が、人間が求める欲に近いからじゃないかと思うんだ。

ある宗教の一説によると、神が人間を作った事になっているらしい。その人間が悪魔の誘惑に負けて、初めての罪を犯してしまったのは、誘惑の言葉が素晴らしかったのではなく、きっと赤い果実が魅力的過ぎたのだよ。

おとぎ話にもあるだろう?。白雪姫がつい手を伸ばしてしまった毒リンゴ。
森の中で出会った老婆。そんな不審な人物から勧められた食べ物を、どうして受け取るものか。まず、森の奥深くで人と出会った時点で疑うべきなのに。
きっと、頭の端に疑念はあっても、目の前のリンゴは赤く艶やかに誘い、その誘惑に勝てずに口にしてしまったんだ。


「君は林檎だ」
「……人間だけど」
「禁断の実、白雪姫の毒リンゴ。誘惑の赤い果実だ」
「おい、なんかおかしなもん食ったか」
「食べてしまいたいよ。私がつい手を伸ばしてしまうのは、仕方の無い事なんだ」「意味わかんねえ」
「ふふふふ」
「大佐まじキモい」


 ***


「中尉。ちょっといいか」
「あらエドワード君。どうしたの?」
「なんか、自分が白雪姫で俺がリンゴとか言ってる」
「…気持ち悪い。何それ」
「思うに大佐は、部下を7人まで増やしたいんじゃないかと」
「リンゴは?」
「俺が赤かったからだろ、多分」
「増やすのは難しいのよねえ、減らすのは簡単なんだけど」
「それか、仕事疲れから本当に白雪姫になりたいとか」
「気持ち悪い!」
「大佐ってさ、女装趣味があったりすんの?。メイド服や白雪姫のドレスを着たいとか」
「さあ、そういった性癖は無いようだけど」
「…そうか(メイド服は趣味かと思ってた…)ただのバカか」


 ***

「おいブレダ大変だぞ」
「どしたハボ。書類どこやった」
「それどころじゃねえ。中尉が人員減らすか増やすかの話してたぞ」
「増やすか減らすかって」
「増やすなら七人にして、大佐は白雪姫になりたいそうだ」
「はあ?…あれか。年末の、部署対抗隠し芸大会の出し物の話か」
「そうかそれか!。しかし何故白雪姫…白いから?」
「白くて白雪姫なら、ファルマンが一番の適任者だろ。大佐は結構ナルシストだからなあ」
「いらん仕事が増えるのは困るな」
「先に手を回しておくか」


 ***


「大佐。シナリオはこちらで用意しますが、足りないキャストと衣装は中尉の協力を仰ぎたいのですが」
「ファルマン准尉、話が読めないんだが」
「今年の隠し芸大会は白雪姫をやるという話では」
「そんな訳がないだろう」
「大佐が白雪姫のドレスを着たがっていると、自分もそのように聞きましたが」
「私の失脚を狙う者が、勝手な性癖を吹聴してまわっているようだな」
「え、そうだったんですか?」
「…その、意外そうな顔の方が傷付くんだがな」

*******

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