※大佐ストレスシリーズ外野編。ハボとブレダのコンビが好き。
最近、なぜか司令部に出入りの多い大将が、本日は給湯室の井戸端会議に参加している。俺とブレダがタバコを吸いつつ休んでいたら、いつの間にか参加していたのだ。
何故こんなに足繁く通っているのか、俺らもうっすら気付いているが、はっきりと口には出さない。上官が子供に狙われているなんて、面白いけど関わると少し面倒だ。
「人間には、即決できる人間と悩みがちな人間がいると思う」
真面目な顔で小さいのが人生論を語る。俺とブレダはタバコ一本分を鋼の大将の為に使う事に勝手に決めて、のんびり煙を揺らす。
「俺はそうでもないが、ハボは悩みがちだな。大将も悩みがちの方か」
「俺は昔は悩みがちだったけど、即決するように変えたんだ。少尉は悩みがちだな」
「なんつうか、間違ってねえけどお前らに言われたくねえなあ」
「悩みがちな奴はキムチだと思う」
おいおい、またおかしな事を言い出したぞこのチビッコは。キムチくらいは知ってるぞ。シンの国の方の辛い漬け物だ。
「材料を与えて蓋して放置しておけば、中で乳酸発酵する。発酵してる間は弄りたくても弄っちゃだめなんだ。邪魔したら美味しいキムチにならない」
「なかなか深いな」
「俺は意味がわからねえ。理解してるブレダもわからねえ」
「まあとにかく俺は、美味しいキムチが浸かるように、材料とか愛情を込めて、蓋して暗いところに置き去りにして、途中で食べたいけど我慢して見守るんだ」
「大将は我慢出来んのか?」
「お前、先に食っちまいそうだもんな」
「だから反省した!!。これから俺は『余裕を持って待てる大人の男』を目指すんだ」
新たな決意を胸に、チビッコ大将は大佐のいる執務室へと向かった。
大将の漬けるキムチは、虫とか食えない物とかも入っていそうで、ちょっと怖い。蓋して放置はいいが、暗いところに置き去りはどうなんだろうか。
ブレダが『あいつは待てるのかね』と笑ってたが、俺は『待ってるつもりで我慢出来なくて、摘んでるうちに無くなる』に一票投じておいた。
「失礼しますキムチ。本日の書類に変更があったようで、確認しに来ました」
「なんだハボック。その挨拶は流行っているのか?。さっきブレダも私に向かってキムチとか何とか言っていたぞ」
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ハボックとブレダの間では、しばらく大佐=キムチの自動変換が続きます。
私は酸っぱくなったくらいが一番好きです。