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最終電車とコンビニ弁当

※現代パラレル。オチなし。





「……だぞ」

「…おい、なあ」

「そろそろ重いんだってば!」

少し高めの子供の声が、段々とクリアに響いて私の中に広がった。ゆさゆさと体を揺らされて、自分が眠っていたのだと気付いた。

「ああ、すいません」

声の主に謝って、傾いていた体を戻す。どうやら私は隣の人に寄りかかって眠っていたらしい。
最近ずっと仕事が忙しくて、私も部下も帰宅するのは日付が変わってからという日々が続いていた。
やっと面倒くさい案件が片付いて、今日は皆で定時で上がって部下達と軽く飲んで家路についた。
電車に乗ったら奇跡的に目の前の席が空いて、ありがたく座らせてもらったまでは覚えている。きっとその後に眠ってしまったんだ。電車の揺れと適度な喧騒は、人の遺伝子に組み込まれているのではないかと思うくらいに眠気を誘う。もしかしたらゆりかごのそれにも近いのではないだろうか。

「おい、ドア閉まるぞ」

隣に座っていた存在は、何時の間にか私の前に立っていた。金色の髪を一つに括った小柄な少年。Tシャツに鞄を斜め掛けにしていて、随分と幼い印象を受ける。こんな小さいのを枕にしていたのかと思うと申し訳なくなってくる。首が痛いのはこれに寄りかかる為に首を大きく傾げていたからなのかもしれない。

「ああ、さっきはすまない。重くなかったかと…」
「降りんの、降りねえの。あんた車庫まで行きてえのか」
「え?」
「車掌さんが困ってる。いいから降りろ」

急かされるままに電車を降りると、一気に真夏の熱気に包まれる。冷房の効いた車内で冷やされた体に熱気が心地よいと感じたのも、ほんの数秒だった。
すぐに車両の扉が閉まった。空の電車がゆっくりとホームを離れていく。
人気の無い静かな駅から、電車の音が遠ざかる。反対側のホームの明かりは既に消えている。

「終電?」
「そう。そんでここは終点」
「乗り過ごしてしまったのか!」
「……鈍い。鈍すぎる」

少年は私の言葉にため息をついて先に歩き出した。小さな後頭部に揺れる金色の尻尾の後について、歩きながら状況を整理する。

・いつも使っている線の終点まで来てしまった。
・しかも終電。
・時計は0時をまわっている。
・起こしてくれた子は偉そうだがちょっとかわいい。
・男の子は多分中学生くらい。

一体、どれくらいの間座席で眠っていたのだろうか。恥ずかしい。

(帰ろうと思えばタクシーでも帰れるが…、遠いな…)

近辺に夜を過ごせるような店があれば、そこへ入って朝を待つのもいいだろう。居酒屋でもカラオケでも、ビジネスホテルでもカプセルホテルでも、こうなれば何でも良い。
そういえばこの子はどうするんだろう。見たところ中学生くらいだろうか。こんな時間だし親御さんはきっと心配しているに違いない。

男の子に続いて小さな改札を出れば、小さな駅に見合った小さな駅前の光景が広がっていた。
暗い。とても薄暗い。店は開いておらず、タクシーすら一台も止まっていない。一応ロータリーの形を成してはいるが、別に広場でいいんじゃないかと思える広さ。駅前にファストフードの店があってもいいようなもんだが、向かい斜め先にコンビニが一軒だけある程度。同じ終電からは私達以外にサラリーマンらしい男性が降りていた。しかし、家族の迎えと思われる車に乗ってすぐに消えてしまった。

「なあ。君はこれからどうする?」
「どうするって…朝まで過ごせそうなとこ探すけど。カラオケもなさそうだし、ダメならそこのベンチだな」
「危ないから君は帰ったほうがいい」
「無茶言うな!」
「出そうか?タクシー代」
「見ず知らずのあんたに出してもらう筋合いがねえよ」
「じゃあ貸すから、そのうち返してくれればいい」
「…貧乏学生は返せる当てがねえんだよ」
「君、真面目なんだね」
「あーもう、あんたと話してると疲れる…」

はあ。と大きなため息をついて、その場にしゃがみこんだ。呆れるにしたってそんなオーバーリアクションはないだろ。と、思ったんだが様子が変だ。

「どうした?大丈夫か?」
「腹が…」
「痛いのか?」
「腹が、減って、…辛い……」

絞り出すような声に冗談ではないと理解する。辛いくらいに腹が減るなんて、本当に大丈夫なんだろうか。

「とりあえず、これを飲んで」

自販機でスポーツドリンクを買って手渡すと、少年はしゃがんだまま一気にそれを飲み干した。いい飲みっぷりに感心してしまう。

「あー、ちょっと落ち着いたけど、まだくらくらすんだ」
「きっと低血糖になっているんだよ。あっちにコンビニが見えるから、何か買いに行くか?」
「ん、食う」

小さな体が転ばないよう気遣いながら、少し離れたコンビニへと向かう。この店もやや小さいが、コンビニはコンビニだ。見慣れた色合いと風景にほっと胸を撫で下ろす。

「食べたい物を好きなだけ買え。それくらいは奢らせてくれ」

カゴを渡すと、まるで親の形見を手渡されたかのような真剣な表情でこちらを見つめ、少年は無言で頷いた。






続きます。

お知らせとか



・昨日までに通販のお申し込みを頂いている方には、返信を終えております。
ご連絡の無い方は、お手数ですがご連絡願います。

・本日までにお振込の完了が確認出来ている方には、東京より第一便を発送いたしました。遅くなって申し訳ありません。メール便なので、早くて2〜3日程で届くだろうと思われます。


後は確認出来次第、発送していきます。
そして、自家通販Uのお申し込みは20日までですので、ご注意くださいませ。


取り急ぎ連絡。
画像は白金のハンバーガー屋。ここも美味しいんだ(*´`*)見てたらおなかすいた!そろそろ帰れるぞー!。

改めまして


夏のイベントお疲れ様でした。
楽しかった!ほんとは二日目も三日目も行きたかった!何がって買い物は特にないんだけど、コミケが楽しいじゃないか。体力と精神の限界まで使い果たすお祭り!。

今回はものすごく楽しくてものすごく疲れてものすごく反省した。そんなイベントでした。
海月庵様でお世話になって居たわけですが、事前段階から搬入荷物も全て、隙の無い計画性と準備の凪さん。把握・決断・行動が早く常に一つ先も検討しているこなみさん。そしてそれをすげーすげーと感動しつつあまり役に立たない私。…それだけじゃないけどもう反省しっぱなしですよorz。
でもね、ただでさえ裏方は楽しいのに、大好きな作家さんの裏方や売り子ってのは更に楽しいんだ。お客さん=私も同じものが好きだよ!だから。
心の中で『どれも面白いですよね、あ、それいいですよ!そっちは私も大好きなんですよ…!!』と唱えながらニヤニヤしてましたごめんなさい。

ありがたい事に私の委託していただいた分も完売しました。
なので本日よりもっかい自家通販受付しますので、もし興味がありましたらどうぞ!。会場販売分にもこっそり挟み込んでおいたのですが、残暑見舞いのポストカードが付きます。あとおまけも。これから追加を作らねば。

戦利品はちっとも読めてないんですよ。纏まった時間が取れなくて部屋に戻れない。でも今夜は夜更かししてもいいよね…!!。


冬コミは行けなくなる可能性が高いので、申し込みしません。行けてものんびり一般予定。行けたらいいなあ。
その代わりに秋のシティに申し込もうかと思ってます。当日だけでも空きますように!!。最悪本が出なくてもいいから、お願いだから行けますように!!。

そろそろ撤収します!


本日はありがとうございました!。
持ち込み分は完売してしまったので、自家通販をもっかい受付します。とりあえず帰宅してから考える。

暑くて暑くて、熱気の中で怒涛のコミケでした。お帰りの方も、明日、明後日参加の方も、しっかり水分補給をしてお過ごし下さいね。
沢山ロイエドも補給した!。幸せはここにある!!。

委託してくださった凪さん、そしてこなみさん、お世話にありました。本当にありがとうございました!。

夏コミのお知らせとか


イベント情報ページにも載せましたが、明日のことをちょっとだけ。

明日は

東5ホール ミ44a 海月庵

観済寺凪之助様のスペースにて、ハルキ本人ごと新刊を委託していただきます。ミはミロスのミ!。もりもり働くよ!。
お会いできましたら、どうぞ宜しくお願いいたします!。

全国各地も暑いですが、東京もここ数日、うだるような暑さです。
日陰にいても曇りでも、湿った熱気がまとわりつきます。ニュースでも散々言われてますがどうか本当に、暑さ対策・熱中症対策は怠らずに参戦してくださいね。

夕方6時に打ち水しても、30分かからずに蒸発して跡形もなくなる絵面に恐怖すら感じます(曇り。しかも日陰)。耐えかねて二回目の水をまいてるところに庭猫(説明は後ほど)に捕まって、ブラッシングさせられて蚊に刺され地獄。…個人的には後半の方が辛いかもしれんorz。
あ、帰りの電車や飲食店で冷やされすぎて風邪引かないように!そっちも心配。

追加のイベント絡みの連絡とかはここかついったで、するかもしないかも。→ついった



自家通販にお申し込みの方には、全てご連絡いたしました。まだ連絡の無い方はお手数ですが拍手からご連絡願います。
締め切りはしたのですが、忙しくて申し込みし損ねたという方が何人もいて、コミケ後通販も受けた方がいいのか検討中です。どちらにせよイベント後にまた日記にてお知らせします。

あと、どさくさに紛れて五月のペーパーに書いた小話を妄想文に収納しました。相変わらずオチは投げっぱなしですが、書いてて楽しかったです。
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