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リバース

リバース/湊かなえ



湊かなえさんの本は3冊目かな。
ミステリーはそこまで好きじゃないのだけど(展開に圧倒されてつかれるから(笑))、最近少し耐性ついたと思う。はじめはドラマで見ていたのだけど、録画に失敗して断念して、せめて原作だけでもと思って本を買ったのだけど気力がなくて読めていなかった。

ドラマは3話くらいまで見て止まってしまっていたから、いい感じにイメージしやすかった。ドラマでの結末を見たい。藤原竜也よ叫んでくれ。戸田恵梨香の演技も見たかった。

いつもは容赦なくネタバレ含め容赦なく感想書いているけど、この本は流石に考えてしまう。

情緒に訴えかけられた、とか、登場人物に共感した、とかはあまりなくて、ミステリーを楽しんだ、という気持ちが強い。


解説読んで、後味が「イヤ」な感じの「ミステリー」いわゆる「イヤミス」という言葉を知ったよ、、前に読んだ重力ピエロとは対照的かな?こちらさんはラストがえげつない。
伏線がたくさん張り巡らされていて、全てが結末に一直線に向かっているようなのを感じた。ぞくぞく。

重力ピエロ

重力ピエロ/伊坂幸太郎


(ネタバレあります)




あ、読みたいってひらめいて手に取った本。
昔に一度読むの挑戦したけど挫折した記憶がある、気がする。読むべきタイミングがあるのだ、きっと。あの時の私ならきっと遺伝子があーだこーだ言う話、ちんぷんかんぷんだったと思う、今もちんぷんかんぷんで読んでいたけど。

内容知ってたのかな?ってくらい展開が読めてしまい気持ちも穏やかなまま終わってしまった。だけど、思い悩んでしまうよな、、葛城を許せば春の存在も否定してしまうし、春の存在を許すと、例の犯罪も許してしまうことになる。

生まれてくるべきではない命なのか。でも生まれてくるべきではない命って言葉、あってはならんよなって今思った、生まれちゃいけないって思うの人間くらいでしょ、、。

だから父も「自分で考えて」産むことを決めたんだろう。犯罪から生まれた子ではなく、自分の息子として。その結果が泉と春の最強の兄弟ができあがる。
そしてその父の言葉がその兄弟を救ったのだろう。家族の絆は遺伝子をも越える。

文書がおしゃれ。サブカル女子が好きそう。(勝手なイメージ)

伊坂さんの本読みかけで止まってるのもあるから読んでしまいたい。




時の尾

時の尾/新藤晴一


(ネタばれあります)




晴一さんの小説、やっと読めた。買ったのはいいけど、難しくて読み進めなくて挫折してしまった。
わりとさくさく読めたけど、やっぱり最初は読みづらさあった。設定も表現も、よくもわるくも晴一さんらしい。たくさん飾られていてくどさも感じた。個人的な好みはあるだろうけど、第三者からの視点で物語が進んでいくから点のような話を追いかけるのも頭を使ったな、、。それでも物語がつながっていくのは読んでいて快感でした。

ユリがオヂと接触してミナの存在を知った瞬間のぞっとするさまが読み手にも伝わって、先に読んで知っていたのにも関わらずまたぞっとしてしまった。
あと本文で「時の尾」が出てきた瞬間鳥肌が立った。こういうことか!というようなつながり。物語の中ではヤンの役割が本当にすごかった。何枚も上手だったんだね。

物語の展開もうまくまとまって、私的にはすっきり終われた。戦争も戦後も知らないから想像でしかないけど、貧しさから生まれる悲しみは誰のせいでもないのだけど、つらいものがある。ヤナギが子どもであることも、ミナが最後はオヂを選んでしまうのも無情。時代のせいなのか、あまりにも時間が経ちすぎてしまったからか。

そのあたりのモヤモヤはあったけど、そのモヤモヤがエネルギーになってくれたらと思う。
生きているのかさえわからなかった姉を探し、内戦後の混乱に呑まれながら、姉に会うまでは死ねないと負いながらもあてもなく足掻いている。希望の光はなく、どこかあきらめたところもあって、手を貸してくれるヤンの言葉ですら受け入れられないでいる。だけど、姉と再会を果たした後のヤナギの行動力はそれまでのヤナギとは別人と思うほどである。それほどの感情の動き、姉との思い出の記憶の強さ、よかったな。

ポルノの曲聞きながら読んでいたんだけど、びっくりするくらい物語と曲がリンクした。カルマの坂の世界観みたいっていう人もいて、わかるーって思った。そういう雰囲気の曲じゃなくとも晴一さんのギターソロ聞いているだけで物語に浸れるよー。



炎上する君

炎上する君/西加奈子


(ネタばれあります)




これはお正月の例の古本屋さんのセールでぶらぶらしていた時に目について買った本。ちょうどANABNTFULLSというバンドのGirls on Fireという曲にはまっていて、アナバンじゃーん!のノリで買った。自分の好きなバントに勝手にかけたという。


これまた短編集で、短編集の読みやすさにすっかり呑まれてしまった。じっくり読もうと思ったけど、一日で読み終えてしまった。というのも最初の話がとてつもなく面白かったからで、そのまま次を読んだら止まらなくなった。

なんと解説が又吉先生で、私の言葉にならない感想がきちんと言葉になっていた。そうそう、そういうのが言いたかった!っていう気持ち。そして又吉先生の文章初めて読んだけど、とても好きなので又吉先生の本も読みたい。

あまりゴリ押しはしたくないけど、わたしのようにポンコツさを抱えている人に薦めたい。又吉先生の言葉を借りると、「己の存在意義に苦悩している」女(そしていい年している)に共感した。そして各話胸がぎゅっと熱くなる。切ない気持ちではなく、温かい気持ちになった。

ファンタジーの発想も素晴らしかった。ファンタジーなのに誰にでも起こりうるよな〜って思った。お尻を置きに行くことも、船の街に行くことも、風船病も。実際には起こらないけど、自分の体内できっと起きている。どん底から這い上がるプロセスをうまくファンタジーに乗せたような感じなのかな?上手な解説は又吉先生のを読んでほしい。


絶望するな。僕達には西加奈子がいる。の又吉先生の言葉、抜群に感じる一冊。




記憶の隠れ家

記憶の隠れ家/小池真理子


(ネタばれあります)




小池真理子さんも初めて読む作家さん。目当ての本がなく、これまた裏表紙を見て決めた本。連作短編集。主人公の設定や書かれた時期(90年初め)の雰囲気に馴染まず、初めは進まなかった。最初の「刺繍の家」のラストに衝撃を受け、つくづく自分では手に取らないタイプの本だなって思ったけど、なぜか引き込まれるように次の話も読み、最後の話になるころには夢中になっていた。

主人公が自分の年齢より年上なので、自分の経験とは遠く共感はあまりなかったけど、それでも主人公の感情、展開のおぞましさは感じることができた。

解説でも書いてあるけど、記憶と家がテーマで、人の死で人が狂うさまが各話あって読み終えた後にぞっとした。現実には起こりえないようなことだけど、うまいこと想像できた。描写しすぎていないから、想像で補って、ぞっとする仕組みができていて、何とも言えない快感のようなものがあった。お化け屋敷に行くような感じ。私は好んでお化け屋敷に行かないし、怖いやつは敬遠しているけど、思いがけず次も、次もって読み進めてしまった。とても新鮮。短編でこれだから、長編も読みたい。



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