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卵の緒

瀬尾まいこ


(ネタばれあります)



これまた要司さんのおすすめ。要司さんのホンシェルジュから選んでいます。

小学生の育生目線で描かれた家族の絆、というものなのか、愛のお話。読みながら「そんなことあるかいな」と思う部分もあることにはあるけど、父のいない家庭の母として、時に女としての君子の生きざまがとても魅力的でした。

君子の手にかかればどんな悩みも小さくなるようなそんなおおらかさ。適当、とはまた少し違うけど、へその緒がないとなると「あなたは卵から産んだのよ」って平気で言ってしまう。育生に兄弟ができるときに卵で産まないのかと聞かれたら「一度卵で産んだから同じことはしない」って言っちゃう。機転の利かせ方が素敵よね。


一人の女として息子・育生のことを愛している、ような印象を受けた。育生がいいやつでよかった。物語に君子の好きな人、朝ちゃんも登場し、ゆくゆくは朝ちゃんも家族になるのだけど、この3人血がつながっていないわけで。でもそんなのは関係なく、みんなそれぞれ相手を人を思いやる気持ちが備わっていて愛であふれていた。



引用

たまに外れたことをしてみないと、ものの重要度がわかんないの。学校は大切だし、休んじゃいけない。でも学校を休むのはたがが知れてる。たいしたことないってことも、大切ってことも、そのことを破ってみないとわかんないの。






クワイエットルームにようこそ

松尾スズキ



(ネタバレあります)




はいさっさ。暇を持て余しているの?って?察してくれ…
好きになると好きになるのだけど、今は活字の沼にはまっている。
でも私のチョイスは偏りがあるので、私の敬愛する要司先生のおすすめの本を選んでみました。松尾スズキへの興味と「そういうの」を選んでみた。外さないね。

内容は主人公明日香がうっかりODして精神病院へ強制入院するところから始まる。主人公がじめじめしていないので物語はサクサク進んでいく。
正気と狂気は表裏一体だよな、って思った。わたしもそんな日々をくるくる回っている。まさか、わたしがそんなものにはならないと思っているのに!の言葉の端っこから狂気が見えるし、狂気はいつでも顔を出すチャンスをうかがっている。

薄い本でサクッと読了。周りの患者たちの描写が少ない分、軽く読める。だけどよく捉えているよなとも思った。もっと長いお話だったらたぶん読んでいるわたしも気に病む。明日香がそう気を張っていたように、K病院に染まってはならないのだ。

話の中で、K病院に入院したことを執筆して不幸のつじつまを合わせるという発想、アホだけど素敵よね、過ぎてみれば「そのくらいの出来事」と思えるだろうから。


生真面目と粘着はコインの表裏だ!



色彩を持たない多崎つくる

色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年



(ネタバレあり)






タイトルが長い。久々の村上春樹です。
よくも悪くも村上春樹って感じだった。ファンタジーの要素はなく、気分的に読みやすかった(普段ファンタジー嫌いっていうわけではないです)。いろいろとじめじめした設定だけど、希望の光が見えた。物語の展開は謎が多いけど、私的にはそこはどちらでも別に良くて、つくるの内面の変化を感じて、その部分がとてもよかったな。結局最後希望に満ちているというわけではないし、きっとつくるも完成したわけでもない。迷いの中で話が終わっているんだけどね、、、。

読むタイミングが今でよかった。設定が今の状況と被っていたりいなかったり何とも言えないけど、やはりヒントとなるポイントはある。

村上春樹の小説の主人公ってポテンシャル高いけどそれを自覚していないというか謙遜しているというか、、またこのタイプか!と思ってしまうんよね、、。いいな、能力高いの、、、って浅い憧れ抱いて卑屈になっていた。
つくるも名前に色がない、ほかの人と比べて自分には何もないって卑屈になっていたけど、周りからみたつくるはとても魅力的で、つくるがそのことに気づくのは本当にあとになってからなのが少しかなしい。つくるが友達をつくらなかったのもあるけど、つくるの人生のもっと早い段階で気付いてほしかった、と思いを馳せる。

まあでも解決できないような出来事、それも自分がひどく傷ついたならできれば向き合いたくないよね、、、でもそれがつくるによくない影響をもたらしていたからこそ向き合えたんだよね、それを教えた沙羅グッジョブすぎるな。

そんなんだからつくるはシロを怒らず責めずにいたんだろうけど、その辺は難しいな、やっていること許されることではないからな……。


眠れない夜に一気に読んだからあっという間に読み終わってしまった。じっくり読みたかったような気もする。感想ほかにあれば追記する。




以下引用。

自分が見たいものを見るのではなく、見なくてはならないものを見るのよ
記憶を隠すことをできても歴史を変えることはできない

どんな言語で説明するのもむずかしすぎるというものごとが、私たちの人生にはあります

私たちはこうして生き残ったんだよ。私も君も。そして生き残った人間には、生き残った人間が果たさなくちゃならない責務がある。それはね、できるだけこのまましっかりここに生き残り続けることだよ。たとえいろんなことが不完全にしかできないとしても

駅をこしらえるのと同じことよ。もしそれが仮に大事な意味や目的を持つものごとであるなら、ちょっとした過ちで全然駄目になったり、そっくり宙に消えたりすることはない。

君に欠けているものは何もない。自信と勇気を持ちなさい。君に必要なのはそれだけだよ。怯えやつまらないプライドのために、大事な人を失ったりしちゃいけない。

目眩がするほど眩い光

更新ついでに。12/5に要司さんの弾き語りを聴いてきた話。この弾き語りも、なぜかタイムリーに聴きたい曲聴けるの、素晴らしいよね。

美しい光は個人的な感情とリンクしてしまったのであまり書きたくはないんだけど、歌声聴いていて、あ、我慢しなくていいんだなって思った瞬間泣いていた。その後のニヤもね、、。別にリンクさせたくなかったのでじっと聴いていたんだけどね、、この人の声魔力かかってるのかなって思うほどだったよ、、、普段ギターソロのところを口ずさんでいてしびれました。

STANDは弾き語りが映える曲よね、、いつものバンドセットも好きだけどわたしは弾き語りの方が好き。8月に初めて聴いた印象が強いのもある。あの時に聴いた気持ちと、今の気持ちが違くてちょっぴり切ない。

カバーのThe Weight、、これ、英語詞を要さんが意訳して歌っていて、聴いてる時も泣きながら聴いていたけど()、家でググって、要さんの解釈の仕方ほんとすごいよ、、!!!って震えた。英語の訳とか真面目にとらえがちなので、ここまで崩してもいいんだ!って衝撃だったな、、。歌詞全部覚えていないけど、曲の展開がぐっときたな。これを踏まえてもう一度聴きたい、、、。
羽が生えたつもりで気楽にいこうよ、
すべてがうまくいくわけじゃない、みたいな歌詞が要さんらしくて好きだったな。うろ覚えすぎる。

20000vはバンドでも弾き語りでもぐっとくるよね。最初は何気なしに聴いていたけど、聴けば聴くほど心にしみる。人のために作ったわけじゃないって言ってるけど、この曲にほんとうに心動かされるのよね。

最後にワールドがくるのは予想がついていたけど、出だしてやっぱり泣いてしまって、心が震えるってこういうことなんだなって思ったんだよ、心が震えたんだよ、、ほんとに。この曲歌詞も好きなんだよね。弾き語りだからより映えると思う。

MCでみんな知ってる曲歌うとか媚びへつらうことはしないって言ってたけど、ほんと、要さんの選曲いいなって思う。8月もそんなの思ってたような気がする。また聴きに行きたい。




ワールド

ふる

ひさびさに本のネタで更新ですよ。
ブログも気づいたら最後の更新から2ヶ月近く経っていて、時間の流れ恐ろしい。いろいろありすぎて恐ろしい。

ふる。
ふるに限らず、なぜかタイムリーなテーマの本を手に取ることができて、わたしって天才って思える。今回あまり衝撃的な展開はなかったけど、じんわり内側からくるあたたかさ、というかエネルギーというか。そういうのがあって、やっぱりこのタイミングで手に取ることができてよかった。

主人公のかしすと重なる部分があって、結局自分が傷つきたくないんだよね、って思う。優しいとかじゃないんだよ。でもそれでもいいよって言われてる気がして、そんな自分でも祝福されていいんだよって思えた。道筋は見えなくてもいつかは祝福されるべき。みんな。

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