いつかの記憶

「ママのこと、ちょうだい」

「いやよぉ」

「じゃあ、貸して」

「いや」


みぃと先輩の会話。


そろそろ、いろいろと決着つけなければならないよね。






今日は、雨降り。
仕事、終わったら電話しますね。

では。

｢暑くなってきたから切ってみた｣

そう聞いたら、見てみたくなっちゃうでしょ？
逢いにいかなくちゃ。


いつもより、ちょっと短めに切った髪。
先輩、似合ってます。とっても。

先輩の髪を撫でながら、ウトウトしてみた。

何だか幸せな時間。


いつも思うこと。
この時間がこのまま続けば良いのに。

そして、何だろうね。
切なさがいつも付きまとう。
胸がきゅーって苦しくなる。


｢ん？どした？｣

重ねてくれた手が温かい。
見上げる眼差しが心地いい。


｢ううん。先輩の睫毛、長いなぁって思って｣
そう言って、ごまかしてみる。

先輩は、どんな思いで目を瞑るのだろう。

口元が微かに微笑んで見えた。



それだけで、本当は良いのかもしれない。