ジョーカー公開ということで、こないだの金ローでダークナイトやっていたけど、見てない。
劇場での1回限りしか観たことがないが、いまだにあの時感じた恐怖と狂気は忘れられない。改めて観てみたいんだけど、初見の衝撃を「今観るとそうでもないかも」みたいな感想で上書きしたくない気持ちで観ることが出来ない。しかしダークナイト2008年公開ということは10年以上経つのか!マジか!!なにかと女性受けが悪いとか聞くけど、あんなすごい映画はなかなかないと思うんだが。

さて、10年前の記憶を呼び覚ましながら書く。
まず主人公のバットマン。大富豪の彼は夜な夜なコウモリに扮装し、自警的に世の悪を懲らしめている。悪党退治なんて警察にまかせておけばいいのに、なんで大金をかけて防弾仕様のスーツを作ったりモービルを作ったりして自警活動に勤しむのかは、前作のバットマンビギンズでわかるわけだが(観てない)、そんなバットマンは「銃を使わない」とか「悪党であっても決して殺さない」というポリシーを持っている。なんというかさ、偽善の香りがするよね。
そんな夜の街を非公式、正体不明で正義を遂行するバットマン=ブルースさんと、公式の場で政治の力で正義を遂行しようとするうーん名前忘れたなんとか議員(ケツあご)の2人が、ゴッサムシティの闇と光の正義の戦士なわけだ。

そんなバットマンたちの正義を嘲笑う敵、ジョーカーが現れる。
ジョーカーは復讐や金や名誉のために悪事を働くのではない、「目的のわからない悪」なのだ。その「目的がわからない悪」っていうのが非常に不気味で恐ろしい。だって交渉の余地がないんだもの。
あえて言うなら「正義」を掲げる人間の面の皮一枚剥がせば「悪」と変わらない様をまざまざと見せつけ、「正しくあろう」とする人間を嘲笑うために悪事をはたらく、という感じ。まさに面の皮剥がされたケツあご議員=トゥーフェイスは、暗黒面に堕ちてしまった象徴。
正義の為に悪人を逮捕して警察に突き出すバットマンだって、角度を変えれば「討てない親の敵の代わりに、世の悪党を懲らしめて溜飲を下げている自己満足野郎」。一皮むけば狂気の存在なのよ。

そんな紙一重な正義を悪に落として「ほら見たことか」と嘲笑いたいジョーカーは、あの手この手で様々な命を天秤にかけ、バットマン達に選択を迫るのだ。その「命の選択」を迫るシーンがとにかく恐ろしい。どうやって切り抜ければいいのか、命の価値とは??!!トロッコ問題のような選択を何度も何度も迫られる。こういう時マーベル系だったら仲間が助けにきてくれるんだけど、バットマンってそこら辺がすごく現実的というか、安易じゃないというか、重い!!!(でもそこが好き)

一応スーパーヒーロー映画であるのに全然カッコよく描かれないクリスチャンベールバットマンと、主役以上に強烈なインパクトを与えたヒースレジャーのジョーカー。語りつくせないくらい見どころのある(ジョーカーナース(はぁと)とか)深い映画だが、とにかく最後の最後にタイトルの「ダークナイト」が表示されて、その意味にものすごい納得がいり感服つかまつりました。

「ダークナイト」をスペルを見るとなんとなくわかる気もするけど、見たことなかった私は「ダークナイト=深夜?闇の深い夜?」と思っていた。みんな映画の終わりにこのタイトルの深みに打ちのめされてしまえばいい。

さて、「ジョーカー」だが、ダークナイトのジョーカーとは一切関係ない。

スパイダーマンと一緒でリブート作品なので、おおまかな設定だけを継承しストーリーは全くの別物となる。でも、ひとりの男が狂気のジョーカーへと変貌していくストーリーであることを考えると、どう考えても嵐のごとし理不尽とあらがえないどん底状態とか容易に想像できる。映画関係サイトとかが「この映画にバットマンは出てきません!」とか「お子様には見せないでください」とか一応警鐘を鳴らしてるけど(そもそもPG15だった気が…)「バットマンvsスーパーマンおもしろかったし、ジョーカーもきっとドンパチがおもしろいわよ!!」なんて映画を観に来る人いるのだろうか。

そして「ライリー・ノース/復讐の女神」これは頭をからっぽにしてただただ主人公の活躍にスカッとする映画である。ママ版ジョン・ウィック。

手違いで麻薬組織に夫と娘を殺され自らも重体に陥った「普通の主婦」が、5年後に麻薬組織に復讐を決行する話。よくある「復讐しても娘は帰ってこないんだ!」とか「君は前向きに生きるべきだ」といった説教や説得の時間はほぼないのでストレスフリーで観ていられる。

そんなさ、「復讐しても娘は…」なんて、んなこたわかってんだよ。大事な人を殺した奴らがこちらの苦しみも考えずのうのうと生きているのが許せないんだよ!ということで、ツッコミポイントも多々あるが中だるみなくいい映画であった。

監督がリーアムニ―ソンの96時間の人というのが納得のスピーディーさ。評論家には酷評されているらしいが、世の理不尽さに辟易している一般ピーポーからすればこんなド真ん中にぶち込んでくれるスカッと映画は素晴らしいと思うんだけど。

ところで度々生前の娘のことを思い出すシーンがあるが、一度もダンナが出てこない辺りにリアリティを感じる。