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静観愚想/知恩院

【静観愚想/知恩院

 やはり、そこは別空間だった。
 緩やかに流れる風と遠くで聞こえる夏を惜しむツクツクボウシの鳴き声だけの世界。
 大きな香炉から漂ってくる焼香の香り。
 正面の香炉の前に座り、木魚を打ちながら「南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏…」と心ゆくまで念仏を唱える。
 そして、十二から十五畳ほどある板の間の拝殿に敷かれている十二個の円座の一つに坐し、三十分間の坐を楽しみ、様々な角度から写メを撮り、部屋の隅に置かれているノートに地蔵さんの絵を描く。
 一時間ほどの僕の掛け替えのない空間と時間。
 この間にその場を訪れたのは、二組の外国人二人連れだけ。
 一組は拝殿に上がり、焼香して手を合わせ、写真を撮っていったが、その時間、約5分。
 もう一組は外から眺めて一分とはいなかった。
 京都市内で、しかも有名なお寺で、自由に入れる場所で、こんな時間が持てる空間は他に有るだろうか。
 その一時間の為に、僕は名古屋から新幹線を使って知恩院に出掛けていったのだ。

 京都駅から地下鉄に乗り、烏丸御池で東西線に乗り換え、東山駅で降りても良いのだが、僕は嵯峨野線で二条にいき、そこから東西線に乗り換えて行くようにしている。
 東山駅からは東に向かって蹴上方面に歩き、平安神宮から下りてくる南北の道との交差点から南に折れる。
 青蓮院門跡の前を通り、なだらかな坂道を上がっていくと、知恩院は直ぐに在る。
 黒門(北門)から入って大きな三門(正門)から出ても好いし、その逆でも好い。
 大きな御影堂(本堂)の東側に廻ると法然上人の像が立っていて、そこから長い登りの石段が続いている。
 そこを登り切ると、そこが勢至堂で、僕の癒しのスポットは、山門を入った右上の石段の先にある法然上人御廟拝殿である。

 こんな場所が名古屋にもあればなぁと思うこともあるが、もし、その場が自宅の隣にあれば、さほど感動的な時を過ごせるかどうか。

 ということは、探せば、これに似た場は名古屋にも在るのかも知れない。

 無ければ作る。
 それが本当かも知れない。
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