「愛をください」と叫んだロッカーは優しかった。足りないものをきちんと意思表示できることは強さだ。全ては結果論で語られる。過程が大切なんだから、と誰かが諭していたのを見たけど、それなら頑張れとか言わないでくれ。結局はお前も頑張った結果を見ているだけなんだ。分かったような顔をする前にとりあえず自分のことを振り返って頑張るべきだよ。


ありったけの言葉を集めても一ミリ足りとも私の心にはならなかった。愛をください、でもなく、頑張りなさい、でもなくただ生きる。そんなことなのだ。



真っ白に空いた穴を埋めるのは溶けたはずの気持ちであり夢で、気付かなきゃよかったのになと呟きながらキャスターに火を灯す。煙の向こう側もこちら側も変わらない現実。なのに、どうしようもなく歪んでみえるもんだから堪らず地面にしゃがみこんでしまった。たった五分の逃避行をする。逃げ道だらけの人生。
田舎もんが粋がってるみたいだなあなんて思いながら吸いこむと、何だか鼻の先がツンとして雨と一緒に消えたくなった。


好きかどうかと聞かれれば好きだけど、それが愛なのかは分からないんだ。