回想8




1月22日


男の返事を聞きに
家を訪ねた


葬儀屋を交えて
話をするが…
なかなか話が
進まない…


ようやく決まって
翌日に出棺する事になった


ボク等はその足で
喪服を4人分買った
初めての葬式が
姉貴の葬式なって
しまうなんてね…


仏様になられた
姉貴は少し青くなってた
コップに水を汲み
綿棒に水を浸して
唇に当ててやった…


もぅ
温もりはなくて…
冷たくなってた…


回想7




1月21日


面会時間を迎えて
男はやって来た


男を見るなり
詰め寄って
引きずり
奴に会わせた


兄貴が胸ぐらを
掴んで泣きながら…
男に言った…


「コイツ頑張ってんのに
アンタはなんなの?」


ボコAにしたい
気分だったに違い無い


続いて母殿も…


「アンタの玩具にする為に
この子を
産んだ訳じゃ無い」


母殿が言い出してから…
目から涙が
止まらなくなってた…


「自殺させるくらいなら…
アンタを私が殺してやる」


母殿は言った


この時初めて思った


オマエ…愛されてたゃん…



って…


男はうんとも
すんとも言わず
ベッドの傍らに
へたり込んだ
無言のまま
奴を見つめてた


状況は変わらず
時間だけが過ぎてった


上がり下がりの
心拍数を
食い入る様に
見てた…


夕方


猫君を気にして
家に帰って欲しいと
母殿


兄貴と一緒に家に帰った


兄貴の携帯がなった…


18:46分


一つの命が亡くなりました…


ボク等は急いで病院へ


母殿も父殿も男も
泣いてた…


昨日のままの
奴の姿で
ベッドに寝て居た
変わったのは
管やらなんやら
体についてたもんが
無くなっただけだった


不思議な気分で
奴をボクは見つめてた…


もぅ…
動かないんだと…


まだこんなに
温かいのに…


って…


死因は心筋梗塞との事
しかし
極めて異例だったとかで
医者より
今後の参考にと…・・・


奴はドナー登録を
していたらしかった


「中身を抜いて…・・・」
と言った途端に
男は泣きながら
止めてくれと
言った
父殿も
彼がこうだから…
と拒否をした


ボクは衝撃を
喰らってた
怒りを覚えてた
拳…握ってた…


葬儀屋を呼び
奴を病院より移動
男の家へ運び
葬儀の話し合い…
折り合いがつかず
男に任せる事になり
翌日また来るからと
ボク等は家に帰った…


永いA
時間を費やして
気が抜けた様な
何かがゴッソリと
抜け落ちてしまった様な
気分だった…


皆でそそくさと
寝たのを覚えてる…


回想6




1月20日


昼前に母殿達が
家に帰宅
病院は男に任せて来たそぅだ


しかし…
1時間後…


病院から連絡…


男の疾走…


皆で病院に戻った…


兄貴を筆頭に捜索開始


奴の友人にメールで
遺書らしき物が
送りつけられ
慌てて友人が病院へ
隣の県からわざわざ…


そして…
念願の対面…


白地の布に
赤い色をした
管が伸びてた…


人間死にそうになると
体にこんなにも…
繋がれるもんなんだね…


痛々しかった…


手を握って…
暖かいのを確認した…



上がり下がりする
心拍数…
目を覚まして欲しいって…
ずっと見てた…


白い部屋で
赤だけが何かを
物語ってた…


時間だけが虚しく過ぎてく…


面会時間が過ぎた…


兄貴から連絡
男が見つかったと…


見つけた時には
ロープに首を…・・・・


消えそうなローソクの傍で
まだ
消えなくて良いローソクが
消えるだなんて…
消えそうなローソクが
どんなに…
可哀想か…


男は見つけられて
こっぴどくやられて
病院に来る様に
言われたらしい…
勿論…
ブツは押収…


少し落ち着いた所で
医者からの連絡を
母殿がボクに言った


「明日もてば良い方だって…」


この日は病院で
一夜を明かした…


とても寒かった…


回想5




時間だけが虚しく
過ぎてった…


兄貴と奴は同じ会社で
働いて居り
会社の仲の良い人達が
病院に来た


その中に元旦那の姿…
凄い剣幕で
あの男に近付き
殴りかかる勢いで
怒鳴り散らした…


大切だったの?
だったらなんで
こうなる前に
アンタが…・・・


元旦那は酔ってたらしく
父殿にどやされて
静かになった


また沈黙が続いた…


何も考える事が
出来なくて
俯いて
勝手に流れ落ちる
涙…


人が通る度に
顔を上げた…
救いを求める様に…


何度か繰り返して
私服の男がやって来た
担当した医者だった
医者らしくなく…
何故私服なのかが
解らなかった


見た瞬間から…


コイツ嫌いだな…


って思った


「胃潰瘍を起こしてて
内出血を起こしちゃってて
でも今
綺麗に取り除いてますんで」


医者らしからぬ物言い…
少し腹立たしかった…
用件を良い立ち去る


また…沈黙…


ひたすらに
最悪でない結果を…
否…それすらも考えず
ただ…
涙が零れてった…


また医者が来てこう言った


「出血により少し
血圧がさがって
血が足りなくて
輸血をお願いしたいんですが
良いですか?」


父殿がこれに頷き
輸血をする為の
書類にサイン…
父殿は輸血の為
病室へ…


奴もO型
父殿もO型
ボクもO型


ボクは生まれてから
18年と数ヶ月くらい
知らないままだった…
ある時に
必要になり
病院に行って
医者に馬鹿にされた様に
笑われた…


「知らないの?」


あの病院には
行かねぇ…


輸血の時に
父殿は奴を見たんだろうか?
見たのなら…
どんな気持ちだったんだろ…


父殿が戻って来て
また沈黙で
時間は塗り潰されく…


そんな中
兄貴の仕事仲間達は
明日も仕事な為に
帰って行った


そして少し経って
夜10時くらい

「ようやく落ち着いて
来ました
酷い出血だったので
脳がやられてなければ…
でもまだ若いから
可能性にかけて診ましょう」


こんな事を
言ってたと思う


それを聞いて
安心したんだろうね
母親が猫君が
心配だからと
ボクと兄貴は
病院を後にした


深夜まで起きてて
知らない内に
夢に誘われて
眠りに落ちてた…


回想4




1月19日


会社に休みの連絡を
入れて居たので
何時もより
2時間くらいも
遅く起床…


いゃ…
兄貴に起こされたっけ?


「オカン達と代わって来る」


その言葉で
夢じゃ無かった…
って愕然とした


そぅ言って兄貴は
家を出た
兄貴が家を出て
そんなに時間が
経たない内に
母殿達は家に帰って来た


なんか…
ずいぶん姿を見てない
気がしてならなかった…


「病院に居ても寒いし
それに…
まだ会えないから
帰って来た
何かあったら
連絡くれるって」


父殿も母殿も
疲れた様子だった…



小休止し
母殿達は再び病院へ
ボクはお留守番
猫君とお留守番


夕方頃に兄貴が
帰って来た
一緒にドラマの
再放送を
見てた気がする


5時半を過ぎて
辺りは真っ暗だった
兄貴の携帯が鳴った
父殿から…


容態の急変…


父殿の報告を受けて
初めて病院に行った


兄貴に聞いてしまった…


「死んだらどうなるの?」


こんな質問無いよねι


「母さんの前で言うなよ」


ってかえて来て


「俺はアイツが死んでも
あんまし悲しくない」


そぅ言った…


雨が降り出してた…


病院に到着
病室は病棟の上の階
病院の中を初めて
知った気分だった…


母殿と父殿と
姿を見つけて
ホッとした…
けど
父殿の隣に知らない
男が座って居た
顔を1、2度見た事がある
程度の認識しかない
男…
赤の他人…


話を聞くと
少し落ち着いた
との事だった
母殿の隣に座って
手を握った
冷たい手だった…


カレンダー
<< 2008年01月 >>
1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31
アーカイブ