電車に揺られながら、一人、都心に向かう。
たくさんの出来事に対してひとつひとつ思い返してみれば、全てのものに「始まり」が必ずあって。
その瞬間を大切にしていた自分はいつの間にかいなくなっていて、記憶はいつしか朧げになっていて。
自分に優しく生きることは一番理想的な生き方なのだろう。
誰かを傷付けたくないし、勿論傷付きたくもない。
でも、そんな生き方は無理な訳だから、自分を殺すか他人を殺すかして呼吸をする自分を許すのだ。
車内を見渡せば誰もが自身しか見ていないことに気付く。
隣の人の音漏れはロックから何故かモーツァルトのレクイエムに変わっていた。
私は誰よりも私が嫌いで、私を愛している。
これだけは揺るがない世界の摂理なのはきっと誰にも分からない。
許されるだなんておこがましいけど、許されるためには優しく生きることは一番痛くて辛いのだ。
新宿の交差点の真ん中。
点滅するハザードを見ると、流星群を思い出す。
煙草が吸いたいのは自分を傷付けて悲しくなりたいからで、優しくなりたい病を患っている私にはこれに気付いたことがまた生きにくくなる一つの原因だと感じた16時過ぎの夕べでした。