元カレKは口下手な男だ。
優しいが、意地っぱり。
人望はあるが、
間違ったものには間違ったとしか言えない。
そんな彼が出世コースから外れた部署へやられたのは、
1ヶ月前、
私が仕事に追われていた頃だった。
あれから彼は、
「全部どうでもいい」
とばかり言う。
荒れた口調の彼に、
「課長止まりになっても笑いやしないから、頑張りなさい」
と言ったら、
彼は直ぐに落ち着きを取り戻していた。
元々無欲な人だった。
出世に拘るようになったのは、
私の要求を実現しようとした結果かもしれない。
気力を失った声で、彼は言う。
「さくらを待つの、あと一年だけにしていい?……あと一年は、待ってるよ」
「……あと一年は、全力で支えますよ」
彼の声に
不意に
涙が出そうになった。
2009-6-30 21:04
家にあるお米とか缶詰めを食べて、
後は机に向かって過ごしていた。
働き口は沢山あるけれど、
例えば日払いキャバに頼るより、病院で働きたい気持ちが強い。
セクハラで職場を追われた女にキャバは似合いな気もするし、
面白いようにも、
洒落にならない気もする。
だけど看護婦さんになるのも、夢だった。
ただ、主任が職を探してくれているし、今は自分の技術を研ぐべきだと自制する。
結局黙って机の前にいる。
夢と意地を貫いて、
財布の中は残り300円。
チョコレートのパンでも買って終わりにしようかしら。
それもまた、夢と意地。
2009-6-30 15:56
元彼
S様と
半年ぶりに電話をした。
彼はまだ私を好きでいて
私を助けたいと言い
ずっと待ってると言った
私は働いてもないのに疲れきった体をベッドに投げ出して
言葉一つ一つに気を入れず
会話を垂れ流した
輝いていた私なんかどっかに行っちゃったわよ、
と考えつつ言葉には出さない。
よろめく体を支え、
風邪をひいたかなぁと思い薬を飲んだ。
耳元で聞こえた声を反芻する。
『俺のマンションに来なよ』
2009-6-29 01:31