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不必要な強がり。



言葉を交わす事で、愛を再燃出来るのならば、

私は喜んで、饒舌になりましょう。

貴方の抱える、苦悶を取り除く術が私自身の存在の有無だとすれば、

私は喜んで、貴方から姿を消しましょう。






貴方が幸福であれば、身を裂く後悔と絶望にも耐えられる。








そうして、

意固地にならなければ、私は私を見失ってしまう。

空洞。



貴方への、薄らいでゆく想いも

貴方への、消え去られてゆく残像も

残酷な程、安易に脅かして

私から

生きる糧を奪取していく



其の、柔らかな微笑や

あの、寛大な優しさも

総て記憶の片隅から削ぎ取って

嘗ての楽しき思い出を

悲しき現実に変化させて

心に空洞を開けていくのです



流れ行く時間(とき)は

時として

惨さをひけらかす凶器となる

褪せない、恋。

忘れたくない。

忘れて欲しく、ない。



貴方と出会えた、穏やかな空間のカフェテリア。

貴方という人を知った、真夜中のレストラン。

貴方と体温を感じあった、朝靄の見える部屋の一室。




貴方と幸福を噛み締めた、広大な青空。



何もかも、貴方を愛したから得た、想い出。



空は、暗くて。

雲は、黒くて。



私が存在していた、今は貴方と離れたあの場所が。

今では手が届かなく、声も届かず。


ただ、涙する事でしか、

貴方を思う事は出来ずに。




”逢いたい”と。

叶わぬ夢を馳せて息付く現実しか、ない。


……もう、貴方に触れる肉体はあの世界には無く。

もう、貴方と再び出会える喜びも、絶たれた。







雨が、貴方を追い詰める。

雷鳴が、轟いて、貴方も私も、悲しみに打ちひしがれる。


あの、美しく、幸福の増幅剤であった空。

きっと、貴方も同じ想いでいるでしょう。




だけど、今では。

過去の幸福にしがみ付く、不憫な醜態と成り果てて。



上から貴方の涙を垣間見ては、酷く悲しみに暮れる。



忘れたくない。

忘れて欲しく、無い。



私が生に執着する様になったのは、

人を愛する心が生まれたから。



……貴方を、全身で愛したから。



忘れて欲しい。



貴方の涙を、拭ってあげる事が出来ぬのなら、

涙を生む元凶を取っ払ってしまえばいい。



私は貴方を忘れない。

私は貴方を、忘れない、から。



未だあの場所で存在する貴方は、

私を忘れる事で、再び笑顔を取り戻して欲しい。



―――貴方は、常に笑顔でいて。

忘却の彼方。

この空を眺める度、思い出す。

君とこの地で、

この場所で寄り添い、

穏やかな時間(とき)を噛み締め、きつく手を繋いで。




―――”幸福”だと、呟いた過去。




君は、今。

この青々とした美しい空を見る事が出来ていますか。

君は、今。

以前のような、僕を幸福にさせる笑顔を見せていますか。

僕は、今。



今は亡き貴女を想い過ぎて、胸が、苦しいです。





空は青く、雲は白く浮かんでは流れ行き。

其れでも僕の君に対する愛は、何時までも変わる事はありません。




空の、蒼が、目に染みる。

雲の、白が、胸を痛める。




遥か遠いであろう、あの空の向こうに。

君は柔らかな笑みを浮かべて、僕を見つめているのだろうか。




貴女が、居ぬ今。




あれ程までに楽しみにしていた、

無限に拡がる、この空を眺める日常が。




悲しく、寂しく、辛く、怖く。




僕から、

涙と、

貴女への美しき思い出を、




無常にも奪って。




空の彼方へ、消し去ってしまうのです。








―――貴女を、忘れたくない。


***************

この想いを糧に、生きていきたいのに。

選択肢。(鋼)

何かを強く欲した時、


自ずと何かを捨て去らねばならない、現実が在る。


其れが、


自分が世界に存在し得る、


”等価交換”という、


当たり前の、


過酷な試練でもある。





「道は、二つ」



確かに幸福に包まれていた、温もりある世界。
当然の如く生み出される、”愛情”を全身で感じ取り、


当然の如く奪われた、”生命の終焉”をこの瞳に焼き付けた……幼き頃の面影。


予測など出来る筈も無い。
確実に削ぎ落とされる寿命は、いつ何時訪れるのか容易に悟る事が可能であれば。


……誰もが別れを迎え入れる事は、そう難しくはないだろう。




「道は、二つ」




此れまでの幸福に何時までも浸かり続けるのか。
今後成長する可能性を投げ出し、其のまま留まり続ける選択を手に取るか。



「……どうせなら、そうして死んだ方が……」



永遠に哀しむ悲劇も、生み出されずに。



あの、既に朽ちて消滅した陽だまりを感じながら、生涯を閉じていけるのかもしれない。



「道は、…………」




だけど、俺はまだ。



動く腕がある。
動く脚がある。
動く口がある。


動く。


心臓が、在る。



生命の核が動く限り、未来を止めてはならない。


嘗ての幸福を守り続けて生きていきたい。
だけど、もしかすると、歩き続ければ、先へ進めばもっと。



大きな幸福に出会えるかもしれない。



「道は、一つ」



……前に進めば、今後も目を塞ぐ程の災難に見舞われるだろう。
だけど、きっと、此れまでない喜びを噛み締める未来にも逢えるだろう。





進む。


不安と淡い期待を抱きながら、脚を動かす。


俺には、掴み取る幸福を得る権利がある。
俺には、奪われた不幸を修正する使命がある。


だから。


この俺という世界のちっぽけな存在が。
規則正しく刻む鼓動が途絶える日まで。




”過去の幸福”を未来の為に埋葬する。



失われた多くの犠牲を取り戻す為。



自身が引き金にした、


あの日の惨状を、





笑って話せるような、過去にする為に。

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