・登場人物

ライラック(バシャーモ♂)
ソフィア(キレイハナ♀)
ステラ(フローゼル♂)
ロレーヌ(トロピウス♀)


・本編


ソフィア「日が暮れる前に着いて、場所取りも出来ましたね」

ライラック「それもこれもソフィアの手腕のおかげだ!」

ソフィア「(照れながら)まあ……嬉しゅう御座います」

ステラ「(小声気味)オレが波乗りしなきゃたどり着けなかったじゃん……」

ライラック「ん? 何か言ったかステラ?」

ステラ「(ぶっきらぼうに)何でもないっ! 出店回ってくるから二人はそこにいててよ!」

ライラック「お、おい!……もう見えなくなってしまったな」

ソフィア「だんな様、ステラはすぐに戻って来まする」

ライラック「ああ、そうだな」


ロレーヌ「ああっ、外した! 次は取ってやる、オヤジ300円やるから弾(たま)くれっ!」

ステラ「300円……? 弾……? それにあの後ろ姿は、ロレーヌじゃないか!」

ロレーヌ「(熱血みたいに)さっきみたいな失敗はしねえ、目指すは一等特大フレンチ〇ーラーだっ!!」

ステラ「(冷ややかに)おいロレーヌ何やってんだ」

ロレーヌ「見て分かんねーのかよ獺(かわうそ)風情が。射的だ射的!」

ステラ「何だよ全然当たってねえでやんの。オレがやってやろうか?」

ロレーヌ「これはあたいが取んなきゃ意味ないんだよ! メリーのお嬢にあげんだからさ」

ステラ「(からかうように)とか言った矢先にまた外したけど? 貸せよ、オレがやってやる」

ロレーヌ「(恨むように)外したら腹の底から笑ってやるからな」

ステラ「(子供っぽく)うりゃあっ!」

ロレーヌ「なんだよその掛けご……当たってやがる!」

ステラ「ほら、ダチにやるんだろ? アンタがとったってことにしときなって」

ロレーヌ「き、今日だけだからな!」

ステラ「はいはいっと……あ!」

ロレーヌ「花火が始まったな」

ステラ「あーっ! 花火始まる前に二人んとこ戻んなきゃ!」

ロレーヌ「ったく、せっかちな奴だな。たまには夫婦水入らずの晩を過ごさせてやれよ」

ステラ「じゃ、せめて陰から見守る感じで」

ロレーヌ「(笑いながら)いいんじゃねえの?」


ソフィア「だんな様、花火が始まりましたね」

ライラック「本来なら、ソフィアと二人だけで行きたかったのだがな……いつの間にか四人でいることを考えていたようだ」

ソフィア「ええ、わたしも同感に御座いまする。四人でいるのが当たり前のようになっておりました」

ライラック「拙とソフィアが話していると、ステラが茶々を入れて、ロレーヌが諫めるのが日常茶飯事だからな」

ソフィア「もはや、家族同然に御座いまする」

ライラック「家族……か」

ソフィア「だんな様?」

ライラック「(しゃくり上げながら)ソフィア、拙の周りにだけ雨が降っているのか? 花火がにじんでよく見えぬぞ」

ソフィア「だんな様、泣いておられるので御座いますか?」

ライラック「泣いてなどないっ! 不可思議な雨だ、顔だけ濡らしたがる!!」

ソフィア「ああ……雨で濡れるのは辛いでしょう、今拭って差し上げまする」

ライラック「ステラとロレーヌに顔向け出来ん、こんな雨に濡れた拙の姿などらしくない」

ステラ「誰に顔向け出来ないって?」

ロレーヌ「せっかく夫婦水入らずのチャンスやったのによ、ライラックの旦那」

ソフィア「ステラ、ロレーヌ! 何時からいたのです!?」

ステラ「えーっと、『本来ならソフィアと二人だけで行きたかったのだがな…』ってとこだね! 大胆だねぇ旦那っ!」

ライラック「ステラ! その口を閉じろ! 今すぐにだ!」

ロレーヌ「やれやれ、相も変わらず騒がしい奴らだな」

ソフィア「騒がしいくらいが丁度良いかと。見ていて飽きませぬ」

ロレーヌ「(苦笑しながら)同感」

ステラ「あっ、ラストの打ち上げ花火!」

※SE:花火

ライラック「ソフィア、人の生き様も華々しくありたいものだな」

ソフィア「ふふっ、だんな様も花火の如く華々しく生きて下さいませ」

ライラック「(力強く)ああ、花火の如く!」



fin


***

お、終わった……!

合宿中(今月九日〜十一日)に考えたプロットより大幅にズレたが終わった!