今回で二回目
七月のお題は『お面、マスク、仮面』『夏の花』『制服』


ある夏の日、華奢な身体に似合わない冷たく重い銃を抱えた少女が一人、向日葵の群れの向こうを見つめていた。

飛び交う弾丸に貫かれ、次々と倒れていく家族や級友達。
空から無差別に落とされる爆弾によって破壊されていく故郷。
太陽にも似た大輪の花の向こうには、血生臭い辛く悲しい現実が続いていた。

ふと見上げた空は、もう随分と前から街を焼く炎で赤く染まっている。
最後に青空を見たのはいつだろうか。

去年の今頃、自分よりも背の高い向日葵の群れの中で見上げた空は、何処までも青く澄み切って眩しかった。

蝉の声に風鈴の音。
楽しそうな子供達の声。
自分を呼ぶ親や友人の声。

今はもう、どれ一つとして耳に入らない。

いつからこうなったのだろう。
どうしてこうなったのだろう。
いつになれば終わるのだろう。

少女の疑問に答える者は無く、辺りには銃声が響いていた。