話題:お絵かき



鈴木桃野の随筆『反古のうらがき』巻一より一部抜粋。

ある組頭が江戸の麹町で酒宴を開き、ある同心も客の一人として来るはずだったが、なかなか現れない。
やがて現れた同心は『急用があるので断りに来た』と言って帰ろうとした。
組頭が訳を問いただすと『首をくくる約束をした』と言い、しきりに帰ろうとした。
組頭はその同心が乱心したと見て、酒を飲ませて引き止めたところ、やがて同心は落ち着いたが…。



これに憑かれると首を括りたくなるという。
また『絵本百物語』の『死神』と題された絵によれば、悪念をもったまま死んだ者の霊が、同様に悪念を持った者を首括りに遭わせようとしているものとされ、題にある死神というよりは縊鬼に近いものとされている。

昭和、平成以降の妖怪関連の文献では、縊鬼は水死者の霊とされ、取り憑かれると川に飛び込んで自殺したくなるもの、と解釈されている。