猫を飼っている。

そいつの身体が溶けた。

黒くしなやかだった身体は溶けてヘドロのようになり、ぐずぐずとした醜悪な姿に変わる。
まるで深淵からやってきた忌まわしき者のようだ。

このままではいけないと、手で溶け広がったそれを集めて形を整える。
すると無事に可愛らしい元の姿へと戻り一安心した。
だが、またみるみる内に溶けていく。
何度もそれを繰り返した後、思わず抱きかかえるとドロドロと溶け掛けたまま猫の形に戻り、腕の中のそれは『にゃあ』と鳴いた。