まとめたらやたら長ったらしくなったので、物語っぽくまとめてみた
内容的に厨二っぽいので閲覧注意




 ある大病院は様々な症例、重篤な患者が集まるにも関わらず亡くなる患者が異様なまでに少ない病院だった。
 余程人体にダメージがない限りは、命が危うい状態でも殆ど100%回復し、病気も完治するか進行が止まるのだ(ただし、事故でバラバラになった状態やウイルス感染等で腐敗している場合は回復不可)。

 その病院で私は用心棒として雇われていた。
とは云っても医師や院長を守る訳ではなく、入院している患者を守る為に雇われていた訳だが。


 例えば何かしらの重篤な病を抱える患者には“死”がまとわりついている。
 それは黒い影であったり、黒衣を纏った老人であったり、よく漫画で見る様な骸骨の姿をしていたりと様々だ。
 単なる怪我や死には至らない病で入院している患者にはそれらはついていないのだが、上記で上げた様な患者にはそれらが憑いており私達はそれを退治し、患者を回復へと導いている。

 用心棒として雇われているのは私の他に数人居り、それぞれ外来患者や守衛、清掃員、患者に扮し病院内を巡回し“死”に憑かれた患者を見付けては場合によってはその場で退治したり(手の平サイズの“死”の場合はゴミを取る振りをして手で掴んで捻り潰したりする)、手術の際や精密検査と称し患者に気付かれないように退治したりする。

 まぁ、そんな感じで私は外来患者の振りをして毎日“死”を退治していたのだがある日、いつも通り病院内を巡回していると友達と彼女の母親が来院しているのを見掛けた。

 だが様子が可笑しい。

 母親の顔は土気色になり目が虚ろで、異様な程にやつれており生気を感じられない。その隣を歩く友達もやつれ、ふらふらと歩いている。
 異様なのは母親の身体から黒く濃い霧が立ち上ぼり、更に友達までもを包み込もうとしているのか広がり続けていた。

 これはヤバいと感じた私は偶然を装い二人に接触する事にした。

『久しぶりだね。どうした?』

 私の声に、うつ向かせていた顔を友達が上げた。

『夜刀ちゃん久しぶり。母さんが具合悪いんだ』

 ふと隣を見ると彼女の母親が焦点の定まらない目でこちらを見ていた。彼女の身体から立ち上る黒い霧が一層濃くなり、何かの形をぼかすように形成する。

 ああ…これは不味いな…

『ちょっと話しない?何か疲れてるみたいだし、気晴らしにさ』

 こんな感じの事を友達に云った。
 彼女は『でも…お母さんが…』と最初は躊躇ったが、それを無理に引き剥がして彼女の母親を待合室の椅子に座らせ、友達を連れ其処から離れた受付の近くで話をした。

『お母さん、何か重い病気?』

 デリカシーがない問いかも知れないが、はっきり答えを聞きたかったのでそう訊ねる。
 暗く泣きそうな声で彼女は頷いた。そしてポツリポツリと話し始める。

 彼女の話によれば、一年程前から彼女の母親の体調が良くなかったらしい。
 病院に行くのを勧めたが母親が拒否し、そのままにしていた。
 まぁ最初は疲れからくる体調不良だと思っていたらしいが日に日に状態が悪くなり、このままでは不味いと思い無理に病院に連れてきたそうだ。

『検査したけど結果もまだなのに危ないかもって云われたの』

 彼女は泣き出した。

 それをなだめながら待合室に居る彼女の母親を見た。
 黒い霧が彼女を完全に包み込み、私には姿を見る事が出来なかった。

 泣く友達、彼女の母親を交互に見、私は友達に一つの提案をし、死を退治する事が出来ると云う自らの秘密を話した。

 最初、友達は信じられないと云うような反応をしたが、もしも治るなら…と私の提案を受け入れてくれた。

 次の日、私は仕事を休み彼女の家へ行った。
 家のドアをノックすると友達がドアを開け、私を招き入れる。

 中に入ると室内は荒れており、カーテンを閉め切っているからか薄暗い。
 母親が体調を悪くしてから家の中はこんな有り様だと云う。

 そんな家の真ん中に彼女の母親は横たわっていた。
 そして、例の黒い霧が彼女の周りを覆いつくしこちらを見ている。
 私は家から持ってきた木刀を持つと、ドンと床を突いた。
するとゆらゆらと動いていた霧の動きが一瞬止まり、次の瞬間一つの黒い塊になった。
 それはゆっくりと形を成し、最終的に人の形となり私に襲いかかってきた。

 急なそれの動きに咄嗟に身体を反らす。バランスを崩し転ぶと、それがさっきまで私が立っていた位置に黒い棒状の物を突き立てているのが見えた。
 これは油断したら死ぬ、そう思い木刀をしっかり握ると立ち上がり、どう対処するか考える。
 そうしている間に再び黒い塊が私に襲いかかってきた。

 反射的に木刀で防御し、それからの攻撃を何とか防ぐ。
 ニュッと目の前に居る黒い塊の首がこちらの顔を覗くように伸びた。

 白い、生気の感じられない顔。
 目の部分は黒く、抉り取られた様に闇が奥に広がっている。
 口は目と同様にぽっかりと穴が空いた様になっていた。

 まるで仮面の様だ。


『お前には無理だ』


 空洞の様な口からそう言葉を放つ。



 無理?

 無理じゃない

 無理じゃないんだ!



 黒い塊の言葉に若干キレた自分が居た。
 雄叫びの様な声を上げると木刀を掴む黒い塊の手を振り払い、その脳天に木刀を叩き込んだ。

 鈍い音が聞こえたかと思うと白い仮面の様な顔が割れ、そこから黒い霧がドッと溢れたかと思うと、それは一瞬にして四散した。
 それと同時に狭い室内を強烈な風が吹き荒れ、床に散らばっている物を巻き上げたがすぐに止み、静かになった。



 勝ったんだ…多分


 ふと安堵し、気付いたら目が覚めていた。





夢の割には内容の設定が良く出来ていたので、最近見た夢の中では一番面白い夢だった
故に未だにふと頭の片隅に内容が浮かんでくる
色々と気に入ったので暇があったら、この夢日誌を元に短編小説を書いてみたいと思う