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霞む十六夜

そんな、夢を、見たから。
…十五夜もまだなのに、あの世界では時間さえも歪むの。

















































ぼんやりと

霞んだ月が映る



十六夜だ。



昨晩は十五夜だった。

嗚呼、けれど、秋雨に泣いた空に月の姿は無かった。



指先を空に翳してみる。

寝ころんだ濡れ淵から夜空に手を伸ばしても、届かない事など百も承知なのだが。

何故だか伸ばさずにはいられない。



強い衝動に駆られるように手を伸ばした指先の向こうに、





急に黒い影が覗く。











「十六夜の意味を知っているかい?」



「気配を消して近づかないでよ…」



にんまりと弧を描く薄い唇。

衣擦れの音さえ立てずに近づく彼は闇のよう。

まるでこの世の者でないかのよう。



「で、十六夜の意味?」

「十五夜の次の日の月の名前だという事は知っている?」

「…それくらいは、」







「いざよい、とはためらう、という意味なんだよ」



狩衣の裾をすっと引き、彼は隣に腰を下ろす。

やっぱり、衣擦れの音さえしない。









「満月より少し、出るのが遅れる。『月が出るのをためらっている』ということから、いざよい、と云うんだよ。」









少し、悲しそうに微笑むと彼も私に習って宙へ手を仰ぐ。

狩衣に刺繍された桔梗が、夜空に映える。









「貴方から見ても、ためらっているように見えるの?」

「…?」

「毎日夜空を見上げるのが、貴方のお仕事でしょう?」



「毎日、月を見ている貴方からも、今宵の月はためらっているように見えるのかしら…」





漆黒の長髪が、ぱさり、と私の真横に降る。

顔を傾けると、隣に整った顔。



「そうだね、ためらっているように、」











「見えるね……、」











とても悲しそうな笑顔で、彼はぽつり、呟く。















「まるで、私のようだ」









苦笑して、彼は身体を起こした。









「さて、私は仕事に戻るよ。夜の闇と星空こそが私の舞台だからね。」

















相変わらず濡れ淵に寝ころんで、見上げる私に彼は手を振った。





「きみは、もう少し遊んで行きなさい。」











ゆっくりと、廊下の奥へ消えてゆく鮮やかな紫と、漆黒の長髪。







「また、いつでも遊びにおいで。夢で、ね?」







振り向きながら微笑む彼の顔を瞼の裏に焼き付け、私は瞳を閉じる。























「…ためらうことなんて、ないのに。」



瞼の裏に焼き付けた彼の顔と、今宵の霞んだ十六夜を重ねる。











「こんなにも美しいのに、なにをためらうことがあるのかしら。」

























働く、貴方は、

人知れず、影で尽くす貴方は、



とても美しい。


例え人々が貴方の存在など知らなくても
感謝などされなくとも、

貴方は魂の続く限り、
天に祈り続ける。

















「霞んでしまう繊細な心の闇さえも、私は綺麗だと思うのに。」








霞む十六夜と、
彼の寂しげな微笑みを
愛おしく思いながら

私は夢の世界へと堕ちた。
continue...

イーニー ミーニー マイニー・モー神様の言う通り…

聖母の名前を。

宵闇万華鏡。

















泣けなくて、






戸惑っている時には









必ず鬼が惑わしに繰るものです





聞こえるのは幾重にも連なる衣擦れのか細い音、

長く麗しい漆黒の髪から仄かに桔梗が薫り

わたくしの背後から、長く細い指が現れ、首筋に絡み付きます。





そして鬼は告げるのです。



『可哀想なわたしの春告げ鳥、此方へ追いで』






と。







麗しい鬼は、決まって言葉巧みに誘い出し、


其うしてわたくしを宵闇の都へと呑み込むのです。














鬼の甘美なことばに惑わされ


『橋』を渡れば



還れぬ現世。






『橋』は「現世」の『端』




橋から先は宵闇迷宮。









浄化の雨に打たれたわたくしの躰を、優しく労りながら

更に鬼は浄化の果実を喰め、と、わたくしのくちびるに指を当てがい



薄桃の実を呑ませるのです。










『嗚呼此れで、おまえのたましいは、此方側のものだよ、愛しい春告げ鳥。』






其して、囚われ









堕ちる。






























































夢で

鬼が謂いました。


「わたし以外の何方に逢えば、おまえの記憶は奪取まれよう。

さぁ、此方へ追いで。
最奥で守ってあげよう。

何方からも傷付かぬ様、
何方からも気付かれぬ様、

とじこめて。大切に大切に。

此れはわたしたちだけの秘密、

愛しい秘密。」











夢で、(何時もの夢じゃない、普通の夢なのに)

出て来て

しかもアレが鬼だった。

ツノあった。
相変わらず妖しく、そして麗しかった。笑

それにしても、


似合い過ぎですよ『鬼』。



夢の成り行きで、わたしはアレに右足を切り取ってあげてしまった。

『貴方になら、わたしをあげる』って。













足を切り取られ

ハレムの最奥で守られた

秘密のお姫さま。


時が満ちる迄
決して外には出しません



ハレムが守る
本当の秘密、それは…。














わたしだけ
強い浄化の雨に打たれ

買った文庫本には彼の人の名が
漫画には役柄の名が
ハードカバーには都の名が。

急に悲しくなって、体調悪くて外出先でしんどくなった瞬間に、繰る、とか、

貴方、わたしのストーカー?笑



わたしの部屋に だ け あれが置いてあるし?笑




極めつけに、

本日のデザートは桃ですのよ。




浄化の果実を喰ませて

一体何をする気でしょうね。

星の降る夜に

7月7日、晴れ。











見上げれば、満天の星空だった。

見渡す限り、星、星、星。

まるで星空の中に浮いている、そんな、気分。



『わたしたちが住んでるこの地球は、天の川銀河なんだよね?』

黒髪を靡かせ、穏やかな笑顔で望遠鏡に向かう彼に聞いてみた。

『そうだよ。天の川銀河だ。』

『ふふ、天の川銀河に住んでるなんて、なんだか夢みたいね』



そう、笑うと。
彼は穏やかな笑顔を更に輝かせ、星を見上げた。

その幸せそうな表情に

わたしは涙が零れそうになるのを堪え、同じく空を仰いでみた。


そんなわたしに、慈しみを込めた、甘い声で彼は言う。



『きっと、織姫も彦星も、今頃あそこで微笑み合っているよ。』


彼が、指先を星へ伸ばした。






『逢えて、良かったね。』









それは、

今頃天の川銀河のほとりで、仲睦まじく寄り添い合っている織姫と彦星に放った言葉だったのか

それとも、

わたしたち自身に向かって放った

途方も無い愛のことば、だったのか









きっと、双方に向けた、彼の祈りと、愛だったのだろう。


『ほら、あれがアルビレオ。ご覧、白鳥座だよ。』


そんな、あの日、あの時代と変わらぬ、輝く彼の笑顔に


わたしもまた、笑顔を零した。







































星が好きな、彼が好き。


七夕の今日、東京は晴れみたいで良かったですね。
今日は七夕で満月、19年に一度の特別な七夕です。

7月7日は七夕と同時に乾麺の日、らしいです。

平安時代の宮中では、七夕に冷やしそうめんを食べると大病にかからない、とそうめんを食べるのが習わしだったそう。(って、アキ先生が言ってた!←)


なので、今日の夕飯はそうめんなのかなぁ、とか思いつつ、







今日から1週間ほど実家へ帰省します。










自分でも気付かない部分ですごく疲れていたから、

ゆっくり休んでこようと思います。









煩わしいことや悩み事は、天使にお任せして

わたしはゆっくり瞳を閉じて、七夕の短冊に願いをかけましょう。

武勇伝

シュナカノ
ふたりとも16歳くらい





「殿下!雑用は私がやりますわ!!」

だから、


降りてきて下さいっ!!!!




「大丈夫だよ、カノン。ほら、風で飛ばされたハンカチも取れたし。これくらいの高さどってことな…」


ぐらり。


「え…?」

「きゃーっ!!殿下ぁ!!!!!」








***
「で?それで結局どうなったのぉ?」

「カノンが木から落ちた私をお姫様抱っこで助けてくれたんだよ。」

「あっはぁ!!相変わらず男らしいね♪カノン」

「その時の逞しい腕と安堵した笑顔と云ったらね、それはそれは美しくまるで王子様のよう…」

「あーっ!!!はいはい!!!!王子様は貴方ですよ殿下!!
そんな昔話はいいですから手動かして下さい手!!!書類あと3山はあるんですからね!!!
ロイドも早く特派に帰りなさいよっ!!!」

「えー?カノンの武勇伝もっと聞かせて下さいよぉ、殿下ー」

「あれは私たちが18歳の頃だったかな…」

「で、ん、かぁ…?過労死させて差し上げますわよ…?」

「だってカノンの武勇伝を自慢したいじゃないか」

「あ、それ自慢だったんですねぇ殿下ー」






そんなこんなの昼休み。
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