あれから、僕たちは、大人になった。
驚くことに僕の職業と言えば宇宙を探索して回る、アレなんだ。
今週末 僕は初めて地球を離れる。
その前の時間を、彼女と静かに過ごしている。
さっきから話しかけてるのは僕の方ばっかりなんだけど…。
「ふたご座でのんびり地球を見てくるよ。」
そう言って僕はまた砂時計をひっくり返した。
紫色の砂が、君と僕で違う2分を何度も刻んでいく。
隣にいても、多分心はすれ違っているんだろうな。
強がりな君は寂しいなんて言わない。わかってるよ。
「…出掛けない?」
一呼吸置いてから、僕は言った。
残りの一週間
どこにだって一緒に行こう
お揃いの記憶を集めよう
何回だって話をしよう
忘れないように、教えあおう。
死ぬまでなんて嘘みたいなことを
本気で思うのは
生きている君に僕はこうして出会えたんだから。
宇宙から帰ってきたら、言おうと思う
言葉でしか知らなかった「幸せ」ってやつを教えてくれた君に。
私は、手紙を書いた。
届ける術もない、手紙を。
「宇宙は、綺麗ですか?
地球は、青いですか?
帰ってきたら、またあの公園に行きたいです。」
2010-11-21 18:05