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笑ったことにも気付かずに



「ヤトって、静かに笑うんだな」
「なんのことだ」
「いや今笑ってたろ。なんとなく、ほら、ヤシロもなんだけど、遠くから笑ってる感じがする。どうせなら入ってくればいいのに」
「笑っているとは」
「は?あ、いや、笑ってなかったのか?」
「己れは笑っているのか」
「そうだと思ってたけどなあ」
「……そうか」
「ちょっとだけ、笑ってる時があるというか。普段は殆ど変わらないだろ?たまに見ると驚くよな」
「そうか」
「あ、ほら」
「笑っているのか」
「おそらく?」
「そうか」
「何かあったのか?」
「いや。何故不可思議な表情をされていたのか、少し理解した」
「……なるほど。そのヒトも驚いたんだろうな」
「もし今持っている感覚が感情と同義なのだとしたら」
「うん?」
「随分前から、もらっていたのかもしれない」
「……まあそれは、ヤトとそのヒトのみ知るってことだな」
「ああ」




ここがいっぱいになったら




日記も新しくしないといけないですねえ

どうしたものかな




たったひとつ、


「なあ、ヤト」
「なんだ」
「もし、これまでをまっさらにして、ヤシロと生きていけるなら、どうする?」
「どういうことだ」
「いや。探しても見つかる確約はないし、ここでは時間の概念も無いからさ。辛くないのかなって」
「問題ない」
「言い切るなぁ」
「お前は違うのか」
「何が?」
「お前も、唯一無二の存在がいたんだろう」
「おお、よく知ってるな」
「己れは、お前たちのようにはわからない。しかしもし言えることがあるならば、あの時間と、因がいない己れは、己れではないということだ」
「……ははっ、わかる。俺もそうだ。あの世界と、あいつのことだけは、絶対に手放せないんだよ。同じ場所にいなくてもさ」
「会えるだろうか」
「会えるって。お前ならできるよ。たとえそれが、お前のいた世界の同じ人物でなくとも、お前は会いに行くんだろ?」
「そうだ」
「お前とはちょっと似てるかもな」
「お前がか」
「黒髪だし?」
「成る程」
「納得するとこじゃないんだけどな!さ、行こうぜ。お前の話、もっと聞かせてくれ」
「わかった」


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