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時折思い出すことがある。
誰かの声を、誰かの言葉を。
救われた言葉が疵になる。
負った言葉がこの身を満たす。
その意味は事実から解離する。
その意味は時間と共に歪曲する。
真意は形を失う。
思い出のなかに融け出した感情は
やがてその身を培う土となる。
水に、風に、光になる。
それは善ではなく悪ではない。
ただそれは己を縛る。
ただそれは己を殺す。
ただそれは生を成し
さも当然のように居座り続ける。
さながら災禍のように。
さながら罪悪のように。