遠征に行っている軍主が帰ってくる。
その知らせを聞いた瞬間、ナナミは部屋を飛び出していた。
エレベータを待つ暇ももどかしく、階段を駆け降りていく。
今回の遠征はいつもより長かった。
離れていた時間が長いから…だからこそ、一目でも早く逢いたい。
そんな想いが彼女の足を速めていた。
「…早く、帰ってこないかな…」
城のホールで足を止めたナナミはため息をついた。
ホールにある石板…『約束の石板』の前に立つと、そのまま石板に寄りかかる。
ここにいれば、帰ってきたときにすぐわかるから。
それにここは、彼の定位置。
優秀な魔法使いである彼―ルックは、こうして軍主の遠征の供をすることが多い。
けれど、城にいる間はいつもここにいる。
だから、ここにいるとルックを近くに感じられる気がして…。
背にしている石板は、ひんやりとしていて冷たい。 守り人が不在の石板の前は、何だか寂しくて。
ここに来れば、会えるような気がしてしまうのに―。
やっぱり、今回の遠征に着いていけば良かった。
ただ待っているだけ、という時間はもどかしくて。 ついそんなことを考えてしまう。
もちろん、ナナミは今回の遠征にも着いていくつもりだったのだ。
でも、それを阻んだのは他でもない軍主…彼女の義弟で。
最近の戦況を考え、疲れているであろう自分のことを気遣ってのことだということは、もちろんナナミも理解している。
でも。
離れていると、いざというときに守ってあげられない―
自身も武器を持って前線で戦えるナナミにとって、この状況はとてももどかしいものだった。
背にしていた石板を振り返り、天間星のところに彼の名前を見付けてため息をもうひとつ。
そんな時だった。
城の入り口が何だか騒がしい。
人々のざわめきの中、聞こえてくる帰還を喜ぶ声。
帰ってきた。そう考える間もなく、ナナミはその場から駆け出そうとした。
けれど。ナナミがホールを飛び出すよりも、遠征に行っていた面々がホールに戻ってくる方が早かったらしい。
無事に帰ってきてくれた義弟の姿に安堵しつつ、探してしまうのは風の気配を纏った彼。
「…おかえり、ルック君」
笑顔で迎えてくれたナナミに、ルックはそっぽを向いたまま答える。
「ただいま、ナナミ…」
そっけない一言。
でも、ルックは嫌がっているわけではないのだ。
その証拠に、怪我をしていないかと世話を焼いているナナミのされるがままになっているのだから。
ルックの性格なら、嫌がってすぐに居なくなってしまいそうなものなのに。
「よかったぁ…」
今回も、無事に帰ってきてくれた。
安心したように微笑むナナミの姿に、ルックは目を細める。
会いたいと思っていたのは、こちらも一緒。
ルックも、自分がこんな気持ちを抱くなんて思いもしなくて…
自分には、過ぎた幸せだと思うけれど…
手放すことなんて、できそうになかった。
終
久し振りの新作、バッチリ読ませて頂きました。相変わらず(?)甘い小説ですな(苦笑)
さて、幻水買いに行こうかな(爆)
ホントまさかの関東がないという
幻水はなんか先輩がめっちゃ好きだといってましたが俺はやったことないんですよねぇ
あまぁ〜いあまいよ桜鈴菜さんとれたてのジャージー牛乳くらいあまいよ(〇沢さん風)
読んで思わずちょっとにやけてしまいましたよ
それにしてもこんな文章が書ける桜鈴菜さんは凄いです
俺には文章力ないですからねぇ
羨ましいです。
あわわわ、久々に書いたのがこんなので申し訳ありません…!
やっぱり甘いですか?(苦笑)自分では押さえたつもりなのですが(待て)
はい、よろしければ是非やってみて下さいな♪
奈緒さんは幻水をやったことがないのですね。
大丈夫です(?)わたしの周囲にもいませんッ!←ちょっと寂しい
あら、そんなに甘いですか?(苦笑) どうも、わたしの文は甘くなる傾向があるらしいのですよ…。
でも、ちっとも凄くなんてないんです。
わたしなど、まだまだですよ〜!
才能はさっぱりありませんですよぅ(涙)
でも、文章を書くのは好きなので…
いろいろ書き散らかしています(苦笑)←最近、停滞してますが…