「コンコン」
『一応聞きますが何をしているんですか?』
「キツネさんじゃき」

親指と中指と薬指を摘んで、人差し指と小指を立てる。よく見る手の形を作った仁王が鼻面に見立てた指先で私の肩をつんつん突つく。

「コンコン、構って欲しいナリー」

ぱくっと開いた口の指先がペンを持っていた私の手に噛み付く。
日誌を書いていた私の手を物理的に止めると、仁王は満足げに顔を緩ませながらそのままもぐもぐと私の手を甘噛みさせていた。


(可愛いがすぎる)


『狐はコンコン鳴かないんですよ?』
「!!??!」