ついったーねた便乗←
慧斗
→keto0917
朔夜の部屋なうー(*´ω`)まったり
朔夜
→white_398
慧斗が俺のベッド占領なう
ベッド返せ
アクル
→k_akuru
そのベッドは俺の場所です! RT @keto0917 朔夜の部屋なうー
アクルのkは会長のk←
アクルはすぐ面白ツイートをRTしまする。
「会長、俺そろそろ限界なんです」
「は?慧斗いきなり何――」
を、そういう前に俺は慧斗に生徒会室のソファへ押し倒された。
え、は、何これどういうこと。
パニックになる頭とは裏腹に、目の前には慧斗と天井が見えていた。
「…何の、冗談ですか」
「冗談?本当にそう思ってるんですか?」
ふふ、とにこやかに言う慧斗は普段通りなはずなのに、どこか冷ややかで。
ソファに縫い付けられている腕を動かそうとしてもびくともしない。年下であろうと慧斗は格闘技に、肉体的に強い。平均的な男子よりも体力があるとは言っても俺には敵いそうもなかった。
「ねぇ、会長。気づきませんでしたか?」
相変わらず腕は動かせないまま、ゆっくりと慧斗の顔が近づく。
気づく?なんのことだ。
「俺が貴方をどういう風に見ていたか。どんな風に思ってたか。どう、しようとしていたか」
目を細めて口角だけを不敵につり上げた慧斗は、普段の柔らかさはなく、思わず背中がぞくりと粟立った。
「いつも、いつもです。貴方が朔夜にちょっかいを出す時も、仕事をサボろうとする時も、真面目にしている時もいつもいつも」
――ずっとアクル先輩を壊したかった。
珍しく呼ばれた名前にはっとする間もなく、一瞬視界が遮られ、気づいた時には唇に濡れた感触が。
***
「――っていう夢を見たんです」
「心底気持ち悪いのでやめてください」
「失敬な」
パソコンの画面から目を逸らさずに、俺に一瞥もくれることなく慧斗は言い切った。
たまに慧斗は俺のことを先輩と思っていない気がするのですが。
「会長は苛められたい願望でもあるんですか?相手なんか腐るほどいるんですから俺を妄想に出演させないでください」
「夢の話をしただけなのにこの言われよう、傷つきますよ」
「いっそそのまま満身創痍でくたばってください」
ただ、夢の話をしただけなのに。
日に日に慧斗の毒舌がひどくなってきている、そう感じながら目の前に積まれた書類を抱えて俺は深いため息をついた。
(やまなしおちなしいみなし、って夢のことですよね)
「無性に朔夜を苛めたい…」
「…!?(悪寒が)」
***
801の日でした\(^o^)/←
「? 慧斗何やってるんですか」
「ツイッターです」
「へえ、珍しい」
「そうですか?けっこう呟いてますけど」
「えっ」
「朔夜とかヒカリとかともフォローしあってますし」
「えっえっ」
「えっ」
「俺、みんながツイッターしてるの知らなかったんですが…」
つまりアクルははぶ
「すみません遅れま――謝る気が失せました」
「その冷たい目はさすがに止めて欲しいです」
「させてるのは会長ですよ、朔夜も抵抗するなら殴るなり蹴るなり沈めるなりしなよ」
「…すまん」
はあ、と溜め息をつきながら朔夜にひっついていた会長をべりっとはがした。
部活があるという呉乃と別れ、先に生徒会室へとやってきた俺の目に飛び込んだのは会長ことアクル・マーカスと書記で幼なじみの白貫朔夜だった。ちなみに両方共一個上の三年生。しかし敬う気になれないのは仕方ないことだと思う。
「朔夜に構うのはいいんですけどまさかちゃんと仕事終わらせてますよね、確か今週風紀に提出するはずの書類があったはずですけど」
「…あは」
「会長?」
「やります!今すぐやります!」
慧斗が怖いです。ぼそりと溢した会長は会長の威厳もへったくれもない。
ダークグレーの髪をさらりと耳にかけ、深緑の瞳を持った会長は珍しい色合いに似合う整った顔立ちをしている。ハーフというのはかっこいい人しかいないんじゃないかと錯覚させられるぐらいには綺麗だ。それに加えて頭も良く、常に学年トップ。皆が憧れる会長なのだが、俺からしてみればただの残念な変態だ。
暇さえあれば朔夜を構い、暇がなくともちょっかいを出す。ちゃんとすれば仕事も早いし尊敬できるのに、と思ったのは数えきれないほどある。こんな人が抱かれたいランキング一位なのだから不思議だ。…まあ、俺達の前以外だとしっかりした会長をやってるしね。
「まったく」
「…悪い」
「もう、会長は朔夜の反応を楽しんでるんだから無視してればいいのに」
「そうするとさらにうざくなる…」
綺麗な碧に染まった髪をくしゃりとかきあげながら朔夜が眉間に皺を寄せる。身長は会長よりも大分高いのに、なぜいつも押され気味になっているのか甚だ疑問だ。…いや、わかってるけどね。本当は朔夜が嫌がってないことくらい。ただ仕事が滞るのはいけないと思うんだ。
まあ、朔夜もアクルの被害者ではあるけれど。
「あれ、そういえば呉乃はどうしました?」
「部活です。遅れますけど、顔は出しますって」
「ふむ、じゃあ呉乃と秀秋が来てから歓迎会の話をしましょうかね」
「秀秋も新入生だけどな」
霞崎秀秋は生徒会の補佐を一年生だ。
基曰くチャラ男、らしいけど金髪にピアス、着崩した制服とは反して中身は非常に優等生だったりする。見た目が優等生な癖にサボり癖のある会長と外見を取り替えっこしたみたいだ。秀秋自身も会長と劣らないくらいの美形なのだけれど。
なんてことをつらつら考えていると、生徒会室の扉を叩く音が聞こえ、こちらの返事を待たずに扉が開いた。
「慧斗いるー…っているね、相変わらずきらっきらしてるわ生徒会は」
これ追加の書類、そう言って俺にかなり厚みがある書類の束を渡したのは風紀副委員長の狭山澪だ。
ちなみに二年でお昼はいなかったけど俺と同じクラス、朔夜と俺とは幼なじみだったりする。
「…きらきらって」
「言っとくけど、お前も含めてだからな」
他人事じゃねえぞ、なんていう澪に苦笑を溢すしかなかった。
いつもと変わらぬ昼休み。
聞きなれない単語に俺を聞き返していた。
「王道転校生?なにそれ」
「なになに慧斗ってば王道転校生をしらないの!?腐男子の風上にもおけないわっ」
「基ちゃーん、慧ちゃんは腐男子じゃないよー」
腐男子とは男同士の恋愛を好む男子のことだと基に教えられたのはしばらく前。
よくわからない、と首を傾げたら慧ちゃんはわからなくていいよ、なんて呉乃にほんわりと笑われたのもその時。
基が唐突に何か言い出すのはいつものことだと説明を促せば、待ってましたとばかりに基はきらきらっと瞳を輝かせた。
「王道転校生ってのはね!全寮制男子校に季節外れにやってくる過去持ち変装実際可愛こちゃんのことよ!」
「全寮制ってウチみたいなあ?」
「そう!そーなの!」
呉乃の言うように俺達の通う此処、桜凛学園は中高一貫の全寮制男子校だ。ちなみに付属の小学校と大学もあったりする。
そんな全寮制男子校。弊害もあったりするわけで。まあ所謂同性愛っていうのとか。
「女という女を断絶したこのめくるめく世界…そんなところにやってきた王道転校生は副会長をはじめとした生徒会に気に入られきゃっきゃうふふと愛されて…ひゅー!リアルBL!リアル王道!」
「…盛り上がるとこ水を差すようで悪いけど」
「ウチに王道転校生が来たら僕らに愛されちゃうってことー?」
「愛されちゃうってことー!」
水を差した割りに基のテンションは下がらない。えへへーなんて緩みきった顔はせっかく整っているのがもったいなく感じるほどだ。まあ慣れたものだけど、なんて苦笑すれば呉乃もそう思ったのか大袈裟に肩をすくませた。
そう、呉乃も俺も基の言う生徒会の一人なのだ。
基曰く、王道らしい人気投票を元に、成績を考慮して選抜されたメンバーは良くも悪くも非常に目立つ存在だ。
呉乃は生徒会の会計で、人気投票――抱きたいランキングの上位者だ。男子の平均身長よりもいくらか背が低く、ふわりとした色素の薄い髪は呉乃の雰囲気によく合っている。そこら辺のアイドルなんか目じゃないくらいに可愛くて、にっこり笑うと花が後ろに見えるくらいだ。
「愛されちゃう、ねえ。基が言ってるのは漫画とか小説の話でしょ?」
「慧斗ってば夢がない!」
「基ちゃんの頭の中はお花畑だもんね、慧ちゃんに基ちゃんの夢を押し付けないの」
「えー、慧斗ならいけると思うんだけど。王道小説も真っ青の美人で優しくて王子様な抱きたい&抱かれたいランク上位者な副会長!美味しいです!」
そうです、俺――芹沢慧斗、基で言うところの王道生徒会副会長らしいです。