私には大好きな恋人がいます。
可愛いくせにかっこよくて、括弧つけてるくせに可愛い2つ歳上の恋人です。
この度、違う学校へ通っていた彼が諸事情により私の通う箱庭学園へと転校してきました。
これからは学校でも毎日一緒なんて、すごく幸せじゃないか。
『みーちゃんみーちゃんお迎えに来たよ』
「『遥!』『わざわざ来てくれたの?』『うれしいっ』」
『大好きなみーちゃんのためだもん、そりゃあどこだって迎えに行くよ』
たとえそこに螺子で貫かれた人々が転がっていようと、支持率99%を誇る生徒会長ちゃん達が唖然とその様子を見ていようとみーちゃんがいるなら私はそこに行く。
「五月雨、そいつから離れろ。危険だ」
冷や汗をかかんばかりの善吉ちゃんの言い分に思わずきょとんとしてしまったのはしょうがない。
だってみーちゃんが危険?そんなことあるはずがない。少なくとも私にとっては。
『みーちゃんは危険なの?』
「『まさか!』『危険なわけないじゃないか』『特に愛しちゃってる遥に対してはね!』」
「だってさ善吉ちゃん」
ぎゅっと片手で抱き寄せてきたみーちゃんに顔を緩めながら寄り添うと、善吉ちゃんと会長ちゃんは私に反して顔を歪ませた。
「すげえ可愛いくて勉強ができて一組の中心な五月雨が球磨川と知り合いなんて嘘だろ」
「知り合い?うーん違うな。私とみーちゃんは恋人ってやつだからね」
「『そうそう』『知り合い、なんて善吉ちゃん達みたいに薄っぺらい関係じゃないんだよ』『そもそもクラスが同じだけで遥のことわかったふりしないでくれる?』」
私達が言葉を紡ぐ度に表情が変わっていく善吉ちゃんと眉間の皺が増えていく会長ちゃん。美人さんがもったいないですよ。
「『もっとも』『これからはクラスメイトですらなくなっちゃうけどねっ』『だって遥は明日から−13組だから!』」
「−13…!?遥が過不可だってのか!!」
ふざけるな!と激昂しながら善吉ちゃんはあろうことかみーちゃんへと向かってきた。−13組うんちゃらはよくわからないけど、善吉ちゃんの拳はみーちゃんには重いと思うので。
『駄目だよ善吉ちゃん、みーちゃんは私のだから』
触っちゃだめ。
私がそう言えばみーちゃんの体に善吉ちゃんが触れる前に、善吉ちゃんは何かに弾かれるようにふっとんだ。
『みーちゃんに危害を加えるなんで100億年早いんだよ。特に、私の目の前ではね』
さあそろそろ帰ろかみーちゃん。
そう言えばみーちゃんは可愛く笑って頷いた。
善吉ちゃん?ふっとんあとのことなんか知らないよ。
今から私はみーちゃんとデートなの。邪魔しないでね。
(世界で一番)
『みーちゃんが大事だからさ』
***
狭義的愛情(リミテッドラバー)
絶対不可侵な夢主と禊さん専用バリアみたいな。夢主の過不可。