キスをしてもいいかと、申し訳無さそうな顔をして聞いてくるので思わずなんでだなんて意地悪な返答をしてしまった。
「な、なんでって…」
「なんでしたいの、キス」
「それは…っ」
カァーッと顔を真っ赤に染める花道が可愛い。
「言ってごらん、花道」
花道の顎に手を添えて、俯いた顔をあげさせる。
唇が触れるか触れないかのところで止まって名前を呼ぶ。
「はやく」
宥めるみたいに言うと小さく小さく花道が声を発した。
好きなんだと掠れた声で花道が言った。
一度触れるだけのキスをした。
「いつから」
「ちゅ、中学ん時から…」
「そうなの」
言いながら鼻の頭にキスを落とす。
「なんで今まで言わなかったの」
親友だから、と半分泣いてるような声で花道が言ったので目尻にキスをする。
「お、男同士だし」
「うん」
「無理って言われたらどうしようって」
「うん」
「でも、我慢出来なかった」
「そう」
男同士だとか、親友だからだとか、そんなことで俺がおまえを拒否すると思っていたの花道。
俺のことをそんな程度に見ていたの花道。
今までどれだけおまえのわがままを聞いて来てやったと思ってるの、どれだけおまえのことを甘やかして来てやったと思ってるの。
「俺がおまえのお願いを聞いてやらなかったことなんてあったかよ」
洋平の言葉に花道がふるふると首を振る。
「ねぇはな、何が望み?」
問い掛ける洋平の首に花道が手を伸ばす。
そのまま絡めてようへいと名前を呼んだ。
「俺のになって」
ふっと洋平の頬が緩む。
「いーよ」
もうとっくにおまえのものだよと笑ってやると花道は泣いた。



終わり






唐突に思いついたので。
最近これくらいのばっかり頭に浮かぶ。