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洋花

「なに?」
ん?と首を傾げながら洋平は次の言葉を促した。
なにだなんて、そんなこと聞かなくても分かっているくせにと花道は思う。
恥ずかしくて顔を上げられない。
いじわる、と小さく頭の中で呟いてからもう一度無言のまま小さな紙袋を差し出した。
「だからな…」
「チョコ」
先ほどよりも少し強くなったその声を遮るように花道は口にした。
瞳は伏せたまま、耳は真っ赤に染まっている。
そんな花道に洋平は口許を緩ませる。
「あぁ、バレンタイン?」
にして随分遅いね、と唇を曲げた洋平に花道はさらに俯く。
バレンタイン、言葉にされると余計に恥ずかしい。
一体どうして今更自分はこんなことをやっているのかと少し情けなくなって下を向いたまま花道は強く目を瞑った。




終わり



ちょっとした思い付き。
2/14何も出来なかったので。
書けたらちゃんと仕上げたい。

洋花

何があったのと、優しく問いかけられたのがたまらなかった。
こらえていたものが溢れ出しそうになる。
「俺の、」
俺のせいなんだと絞り出すみたいにしてなんとか口にした。
何のことだと言わない彼を誰よりも愛しいと思う。
「俺が」
「はな、違うよ」
遮るようにして名前を呼ばれて縋る気持ちで顔を上げた。
「親父さんが亡くなったのはおまえのせいなんかじゃないよ」
途端に視界が滲む。
愛しい人がぼやけだす。
「そんな…」
そんなことは無いんだと口にする前に頭を撫でられてさらに世界が揺らぐ。
ようへい。
「違うから花道。悪くない、おまえじゃないよ」
「違う…ようへい、俺が…っ!!!」
ほとんど泣いていた。
ぐちゃぐちゃになった自分を洋平が優しく見下ろす。
「いいよ」
心地好い彼の声に心酔する。
「たとえそうなのだとしても」
どうしてだなんてそんなことを問う余裕は一切なかった。
ただその一言に全部洗われた気がした。
許すのだと彼は言う。
こんな俺を。
こんなにも汚い俺を。
「ようへい…」
はなみちと彼が四文字を口にした。
そっと彼のシャツの裾を握ってもう一度名前を呼んでみた。
変わらない声色で同じようにして彼もまた四文字を口にする。
こんなにも誰かが自分の救いとなる瞬間があるだなんて生まれて今まで思いもよらなかった。
愛しいとか愛しているとかそんなもんじゃあ片付けられない感情がこれで、こういう時人はどんな言葉を口にするのだろうか。
足りないこととか、違うこととか分かっていてそれでもなおかつ愛しいのだと愛を語るのだろうか。
目の奥が熱くなるのと同時に彼を見る。
見上げた先の彼はやっぱり誰よりも美しかった。



終わり


所謂リハビリ。

洋花

キスをしてもいいかと、申し訳無さそうな顔をして聞いてくるので思わずなんでだなんて意地悪な返答をしてしまった。
「な、なんでって…」
「なんでしたいの、キス」
「それは…っ」
カァーッと顔を真っ赤に染める花道が可愛い。
「言ってごらん、花道」
花道の顎に手を添えて、俯いた顔をあげさせる。
唇が触れるか触れないかのところで止まって名前を呼ぶ。
「はやく」
宥めるみたいに言うと小さく小さく花道が声を発した。
好きなんだと掠れた声で花道が言った。
一度触れるだけのキスをした。
「いつから」
「ちゅ、中学ん時から…」
「そうなの」
言いながら鼻の頭にキスを落とす。
「なんで今まで言わなかったの」
親友だから、と半分泣いてるような声で花道が言ったので目尻にキスをする。
「お、男同士だし」
「うん」
「無理って言われたらどうしようって」
「うん」
「でも、我慢出来なかった」
「そう」
男同士だとか、親友だからだとか、そんなことで俺がおまえを拒否すると思っていたの花道。
俺のことをそんな程度に見ていたの花道。
今までどれだけおまえのわがままを聞いて来てやったと思ってるの、どれだけおまえのことを甘やかして来てやったと思ってるの。
「俺がおまえのお願いを聞いてやらなかったことなんてあったかよ」
洋平の言葉に花道がふるふると首を振る。
「ねぇはな、何が望み?」
問い掛ける洋平の首に花道が手を伸ばす。
そのまま絡めてようへいと名前を呼んだ。
「俺のになって」
ふっと洋平の頬が緩む。
「いーよ」
もうとっくにおまえのものだよと笑ってやると花道は泣いた。



終わり






唐突に思いついたので。
最近これくらいのばっかり頭に浮かぶ。

洋花

ドタバタと玄関から騒がしい音が聞こえてきたので、もうそんな時間かと時計を見やる。
確かに時計の針は九時を少し回ったところで、窓から見える空は黒かった。
ガチャガチャと部屋のドアノブが音をたてているので鍵を開けてドアを開くとそこにはうっすらと汗をかいた花道が立っていた。
突っ立ったまま動こうとしない花道を部屋の中へ招き入れる。
「お茶いる?」
適当に座らせながらそう問うと、いきなり腕を掴まれた。
「ようへ…手ぇ、」
血ぃ出てる。
なぜか花道が悲しそうな顔をする。
まるで自分の痛みのような顔をする。
「うん、ちょっとやっちゃった」
「忠から聞いた」
「そう」
少し俯いて花道が言う。
「消毒した?」
「ううん、ほったらかしてた」
「ばか」
ばい菌入るんだぞと言って花道は立ち上がり、自分の鞄の中から消毒液と包帯を取り出すと、洋平を座らせ自分もその横に座った。
そうして当たり前のように手当てを始める。
「シミる?」
「ん、少しね」
なぁ、と言われて目線を合わす。
やっぱり花道は泣きそうな顔をしている。
「洋平…あんま喧嘩しねえで」
「……うん、もうしない」
自分の傷は別に痛くなかった。
それよりも自分を責めるような花道の声が痛々しかった。



終わり



忠から洋平が派手にやったと聞いて部活帰りに洋平宅に駆け付ける花道。
もちろん洋平が心配で、きっと怪我もしてるだろうから手当てをするつもりで。
喧嘩の原因は決めてない。
けどきっと洋平に花道が足りてないから。
高校入学後すぐくらいのつもり。




びすこ様の日記、メールで刺激されちゃって書いたSS。
もっと甘いやつを書くつもりだったのに、気付けばこんなことに。
…なぜ?

喧嘩ってキーワードは洋花にぴったりだと思う。
洋花はホント、萌えが尽きない!!

せっかくなので

どうせ眠れないし、三井さんの誕生日だし、せっかくなのでSSを。





宮城×三井

しんどい練習を終えて部員全員で疲れた疲れたと言い合いながら練習着を脱ぐ。
最近暑くなってきたもんだから体は汗でベタベタ、Tシャツはびちょびちょだった。
新しい服を着る気になれない。
少し涼んでからにしようと宮城はそのままパイプ椅子に腰掛けた。
お疲れ様ーと着替え終わった部員が部室をあとにする。
ふと気付けば残るは自分と、着替えを済ましてバスケ雑誌を真剣に読んでいる三井だけだった。
待っててくれてんのかな。
そんなことを思いながらそろそろ着替えようかとシャツを手に取る。
「おい」
いきなり声をかけられて「ん?」と宮城は振り向いた。
「おまえ、なんか俺に言うことあんだろ」へ?と宮城は首を傾げる。
「だから俺に!!」
「…」
少し考えてみたものの何も浮かんで来そうにない。
仕方無く宮城はそのままを口にする。
「なに?三井さん」
なんの心当たりも無かったので普通にそう聞いてしまった。
「なっ…!!!」
自分の言葉に驚いたような、怒ったような顔をした三井を見てすぐにやばいと思った。
これは地雷を踏んだ。
「おまえそれ本気か!!!!」
赤い顔をして怒鳴られて本気で焦る。
この人は何をこんなに怒っているのだ。
そんなに怒られるようなことをした覚えが全く無い。
「え、三井さん?」
「もういいっ!!」
真っ赤になって出口へと向かう三井を必死に呼び止めながらふと壁にかかったカレンダーに目がいった。
22という数字に赤い丸がつけられているのを目にして思い出す。
確か数日前に三井は言っていた。
俺を祝え、と。
「あっ!!三井さんっ!!ごめん!!!」
分かったから!と三井の袖を思い切り引っ張る。
「三井さん、分かった!」
「ちょ、伸びるだろ!バカ!!」
怒鳴る三井を無視して宮城は続けた。
「誕生日、おめでとう!!」
それから気付かなくてごめんと付け足した。
一瞬空気が静まり返る。
「…わ、」
忘れてんなバカ、そう言ってふいっと顔を逸らした三井の耳は真っ赤に染まっていた。


終わり



友達以上恋人未満な感じ?
自分で書いててよく分からなくなってしまった;;



三井×木暮

本当はかなり前からそわそわしていた。
多分、一週間前くらいから気になっていた。
だけどなんでもないフリをして、全然何にも気付いてないフリをして昨日もいつもと変わらない一日を過ごした。
いつもと同じ時間に家を出て、いつもと同じやる気の無さで授業を受けて、いつもと同じ熱さでバスケをした。
家に帰って少しどきどきしながら電話を待っていたけど一向にかかってくる気配は無くて、ふてくされながらもしかしたら夜中にかかって来たりしてとか思いながら眠りについたのに普通に朝を迎えてしまってむかっとしたので学校はサボることにした。
部活の時間が近づいて来たから学校に向かって、いつもみたいに部室で着替えて、いつもみたいに体育館の扉を開けるとそこにはやっぱりいつもみたいに誰よりも早く来てモップをかける木暮がいた。
「…よう」
「あ、三井。おはよう」
今日学校サボっただろうと叱るような口調で言われたのでうるせーと返した俺になんか機嫌悪い?と木暮が聞いてきた。
誰のせいだと思ってやがる、と思ったことは口にせずに別にとだけ返しておいた。
木暮は一瞬「ふーん」と納得していない顔をしてから「あ、」と声を出した。
「三井」
呼ばれて振り返る。
「誕生日、おめでとう」
言ってなかったねと穏やかに微笑まれて少し恥ずかしくなった、と同時に、許してしまった。
「べ、別に気にしてねーし」
咄嗟にそう言った俺に、ならいいけどと言って木暮はモップを直しに倉庫へと向かった。
あの笑顔は反則だと思う。
なんか、なんつーか、あんな風に笑ってくれんだったらぜんぶもういいやって思ってしまうんだけど。
はぁ、と小さくため息を吐いてから惚れた弱みってこういうことなんだろうなと三井は思った。


終わり



こちらは付き合ってる…かな?
私は三暮が割と好きです。
三井さんのわがままを笑って受け入れる木暮くん、いいと思います。
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