言葉遊びシリーズ第三弾。
今回も洋花で。


*前から紡ぐも後に続けるも、好きにして下さい。
*大意の変わらない言葉の変更は自由。
*順序入れかえも自由。
*テーマは【靴】。

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そろそろ行こうかと言って洋平が手を差し伸べた。
うん、と一度頷いてから花道は洋平の手を取った。
昔からどこへ行くにも一緒だった
いつも手を繋いで色んな場所へ二人で出掛けた。
小さい頃はそれが普通だったのだけれど、成長と共にそれは普通じゃないのだと気付いてしまった。
十六の誕生日、約束を交わした。
「はな、手、出して」
言われて差し出した手を洋平が掴み上げた。
されるままにしながらぼーっと洋平の顔を見ていたら出来たよと言われて自分の手に目線をやる。
そうして目にしたのはお世辞にも似つかわしく無い、薬指に可愛いリボン、蝶々結び
「はなみち」
今から四年は俺のものでいて。
そうして四年経ってそれでもまだ俺を選んでくれるなら二人でどこかへ行こう。
あの時の洋平の声は少し震えていた気がする。
「虹が見たいな」
ビルの上の屋上でそう言って花道が空を仰いだ。
空には綺麗な月が出ていたのでそれは無理だと洋平が言った。
靴は脱ぐかと聞かれたので頷いた。
すり減ったゴム底が長かったと語っている気がした。
怖いかと聞かれて首を振る。
行こうと言われて微笑む。
四年経っても俺が選んだのは洋平だった。
二秒後、きっとここにはきちんと揃えられた二つのスニーカーだけが残る。

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ありがとうございました。


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このシリーズ好きだー。