2017-2-18 20:58
偉い人に(無理矢理)貸してもらった手前、感想を言わねばならない状況になりました。
半分くらい読んだときと読了した感想が真逆なので、半ばで投げようとしてる人はとりあえず最後まで読んでみたら案外いけるかもしれない。
壮大なネタバレを含みます、ご注意ください。
追記から。
ぐるぐる悩んでそれで終わり、っていう話じゃなくてよかった。この手の話は不幸自慢みたいな自分語りが多い印象だったので。
性描写はぼぼなし、むしろ読んでいて痛い。地の文は淡々としていて読みやすい。
半ばまでずーっとモヤモヤしながら読んでいました。ざっくり言えばセクマイとかそれに準ずる人の自伝を読んでるような。人と違う自分に悩み、周りの期待に応えられないことで世間の枠から外れることを恐れる主人公(著者)、最後は自分たちの生き方を肯定できるようになる。
しかしこれってノンフィクションなの?ファンタジーなの?ってちょっと悩んだ。
タイトルで目を引くけれど、別にこれじゃなくてもいいかな。子供を作ることは主人公の存在意義のひとつとしてカウントされるかされないか、みたいな曖昧なもので、周りの思う恋人同士の当たり前から外れていることの一つとして考えていい。
タイトルである夫のちんぽが入らない理由については最後まで明かされないので、そのあたりを期待してると拍子抜けするかもしれない。
どちらかというと女性が好きそう。主題的に。
半ばまで読んだ感想↓
夫のモノが入らないために自分は女として不能と語っている割に、夫と決別しようとか思わないあたり主人公は自尊心が高いのかしら?
(2/19追記:と思ってたけど、この人きっと自分にも他人に対しても興味が薄いんだなー。たぶん長いものに巻かれる性格。夫と意見のすり合わせをしようとしないのはそのせい)
子供が欲しいかは別として、極端に言えば自分が子供を作ってあげられないから、たとえば女の人と子をなして夫には幸せを掴んでほしいとか思わないあたり、なんだか女々しさとか卑屈とは程遠くてなかなかプライドが高い人物だと思う。
周りの人間の共通認識は、男と女がいれば当然夜の営みはするよね?子供は出来るよね?女としての幸せは結婚して子をなすことでしょう、ってことで、母親をはじめとした周りの人々から口々に語られる。主人公もその考えに同調し、自分がその幸せの枠から外れていることで一人不安を抱えている。ただ、それは自分が女として不能だからで、子供が作れないとか夫に愛想を尽かされるとかそんな理由ではない。
世間の目に敏感なのにもかかわらず、その可能性を全く考えないのもすごい。自分の体質を責めるような描写もあまりない。
気になるのは、主人公は世間が考える普通にはまらないことが恐ろしいにもかかわらず、夫婦間での話し合いが全くないこと(地の文からは旦那の意思も読めない)。主人公は一人で自分の気持ちに折り合いをつけようとするが、結局は怯えや不安も解消されない。旦那が風俗とビデオで性を発散しているのを黙認し、相談できる相手もおらず一人でぐるぐると悩んでいる。挙句自分も夫以外の相手と性に溺れる。相談してもどうにもならない問題かもしれないが、少しは言葉で旦那に伝えることをしてもいいんじゃないの、とモヤモヤしながら読んでいました。
読了した感想↓
後半になって病気が発覚し、夫婦の会話がたびたび挟まれるようになってからは好みの展開でした。後半があってよかった、最後まであの展開が続いていたら、きっと放り投げていたと思う。紆余曲折を経て、自分たちの生き方を時間をかけて(時間をかけたからこそ)見つけられた。読んでいて前向きになれました。
要は自分の価値観を信じて人の生きてきた背景を無自覚に否定してしまうのはおそろしいので、どこに転がってるかわからない地雷は踏むなよ、って話。