「おにーいさん、こんな土砂降りの中傘もささずにそんな薄着で何してーんの?彼女にでもフラれた?」
「うるせぇし意味わかんねぇしウゼぇし」
「うんよく言われる」
「帰れ」
「うーん、俺よくドSって言われるけど泣きながら土砂降りの雨の中立ってる幼なじみほったらかしに出来る程人で無しでもないんだよね」
「泣いてねぇし」
「泣いてるみたいに見えるよ?」
「雨のせいだっつの」
「うん、そうかも。…そういう事にしようか」
「意味不明」
「うん」
「…………」
「……怖い夢でも見た?」
「ガキじゃねぇし」
「じゃあ昔の夢でも見た?」
「…………」
「……図星?」
「…お前には関係ねぇしわかんねぇだろ」
「それは俺が決めるし」
「意味不明」
「うん本日二度目だね」
「…………」
「…………」
「……帰れって」
「一緒にならね」
「風邪引くぞ」
「そちらさん程ではないよ傘があるから」
「あっそ」
「うん」
「…………」
「……一応炎タイプなんだから、無理して雨の中いない方がいいよ」
「平気」
「そんなワケないでしょ」
「ガキの頃何度も放り出されたから慣れてる」
「……そっか」
「……雨ってさ」
「うん?」
「嫌な事全部洗い流して消してくんねぇのかな」
「それはその人の心次第じゃないかな」
「あっそ」
「うん」
「………………さみぃ」
「だろうね。じゃあ傘に入れてあげるから帰ろう」
「腹減った」
「簡単にスープでも作ってあげるよ。インスタントでよければ」
「インスタントかよ」
「だってこんな夜遅くに料理したら皆を起こしちゃうかもだし」
「…やべ鼻出てきた」
「そら言わんこっちゃない。帰ったらすぐお風呂入ってあったまりなね、その間にスープ作ってあげるから。
風邪なんか引いたら雪華心配するよ。ただでさえ皆が寝てる間に黙って抜け出してんだし」
「ん」
「はい傘。入って入って」
「……なぁ」
「ん?」
「雪華……」
「言わないよ。もちろん他の皆にもね」
「ん」
「じゃ、皆の所に帰ろうか」
「ん」
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幼なじみだからこそわかる事と、男同士だからこそわかる事
内緒に、出来る事