――それはとある町であった、何の変哲も無い日常の一コマ
「あ、ちはやさん!」
買い出しの途中、もう見慣れた後ろ姿に雪華が声を掛ける。
その声にちはやも振り返り、にこやかに手を振る雪華とその隣に居る歩に手を振る。
「あ、雪華ちゃんに歩君、こんにちは」
「こんにちは!」
「うっす」
「二人仲良くお出かけ?もしかしてデーt「違う!!!」
ちはやの言葉を素早く遮る歩。
淡く頬を染めて言った歩の様子に雪華は首を傾げた。
相変わらずな二人にちはやは思わず小さく笑いを零した。
「歩君は本当面白いなぁ」
「俺で遊ぶな」
「歩なんで顔赤いの?」
「気にするな。むしろしないでくれ」
言いながら歩はふい、と顔を逸らす。
雪華が鈍感でよかった…と思ったのは言うまでもない。
「ちはやさんもお買い物ですか?」
「うん。少し休憩に[SAKURA]に寄ろうかなーって思ってたんだ。よかったら二人も一緒に行かない?」
「いいんですか!?じゃあ歩、私達も…」
「一緒に行こう」と雪華が言いかけた時……
「よーぉ、『アルテミス』様に『ケルベロス』様ぁ」
見るからにごろつきです、と言わんばかりの風体の男が二人現れた。
雪華と歩、ちはやの三人は男達を振り返り、怪訝そうな顔をする。
「お二人共久しぶりだなぁ、元気にしてたぁ?」
いやらしくニヤついた顔で雪華と歩に言う男に対し、二人は……
「「…………誰?」」
真顔で質問返し。
二人の返事にごろつき達は思わずずっこけ、ちはやは「え」と目を点にしたのは言うまでもないだろう。
「歩の知り合い?」
「いや?俺にこんなヒヨコと鶏みたいな頭の知り合いなんかいねぇよ」
「お前らナメてんのかァァァァァ!!!!!」
「お前らが一週間前に負かしたトレーナーだよ!!お前らとバトルしただろ!!!!!」
双子顔負けのコンビネーションで怒鳴るように言うごろつき達に、二人はやっと思い出したのか「あー…」と妙に納得した表情を見せた。
「えーと…一応二人の知り合い…?」
「えっと…多分そうです」
「多分て……」
「『俺達が勝ったらその女…アルテミスを寄越しな』とかふざけた事ぬかしたから俺と雪華でダブルバトルして3分かからず負かした」
「歩本気でバトルしたよね」
「ああ。そしたらあまりにも呆気なくて拍子抜けだったな」
つまり、雪華ちゃんに手を出そうとしたから本気出したと…。
やはり相変わらず雪華愛な歩にちはやは思わず拍手を送りたくなったとか。
言いたい放題な二人の様子に怒ったのか、ごろつき達が腰からモンスターボールを取り出した。
「俺達ァなぁ、お前らに負けたのが気に入らねぇんだよ…ガキのクセしてイイポケモン持ってよぉ…」
「結局妬みかよ、イイ大人が恥ずかしくねぇワケ?」
「ね」
「俺達ァこんな所で終わる男じゃねぇ…新しく手に入れたコイツらでお前らを倒してのし上がんだよ!!!」
ごろつき達はモンスターボールを投げ、ポケモンを繰り出した。
繰り出されたのはブーバーンとエレキブルだ。
「…どうする?歩」
「ま、アッチがやる気なんだからやるっきゃねぇだろ。めんどくせぇけど」
「だね。ちはやさん、ごめんなさい少しだけ待っててくださいね」
「え、あ、うん」
雪華はちはやに振り返り微笑むと、ごろつきに向き直り太股に巻き付けたホルダーからモンスターボールを一つ取り外す。
それと同時に歩も腰のベルトからモンスターボールを一つ取り外し、ごろつきに向き直る。
そして、同時にモンスターボールを投げポケモンを繰り出す。
雪華のボールからは最初のパートナー、リザードンのルーク。
歩のボールからは同じく最初のパートナー、フシギバナのソーマが繰り出された。
「いけブーバーン!!目にモノ見せてやんな!!!」
「エレキブルお前もだ!!負けんじゃねぇぞ!!!」
ごろつき達の指示でブーバーンとエレキブルがルークとソーマに向かって突進してくる。
それに対し、雪華と歩は表情一つ変えず、静かに口を開く。
「ルーク」
「ソーマ」
「「行って(行け)」」
二人が同時に指示を出した瞬間……ルークとソーマも同時に動いた。
ルークはエレキブルを掴み、ソーマは蔓の鞭でブーバーンを捕まえ、二匹同時に投げ飛ばした。
辺りに「ドゴンッ」と高い位置から重い物が落ちたような轟音と地響きが響き渡り、砂煙が立ち込める。
風が吹き、砂煙が流され、晴れたそこには……目を回し、戦闘不能になったブーバーンとエレキブルが。
数分と経たず勝負がついた。
目の前の状況にごろつき達とちはやが目を見張る。
「……で。次は?」
相変わらず表情を変えず、歩がごろつき達に問う。
歩の声でごろつき達はビクリと我に返り……
「お…覚えてやがれ!!!」
ブーバーンとエレキブルをボールに戻し、足早に逃げて行った。
「二度と来んなっつの、めんどくせぇ」
「お疲れ様ルーク」
走り去るごろつき達に舌を出す歩とルークの頭を優しく撫でる雪華。
ルークとソーマの体が一瞬光り、人型へと姿を変えた。
「ンだよあいつら、呆気なさすぎだろ手応えねぇな」
「俺らのマスターに喧嘩売るなんて…ある意味勇者だね」
つまらなさそうに言うルークといつも通り感情の読み取れない微笑みを浮かべたソーマ。
呆然と一部始終を見ていたちはやに雪華が振り返り、笑顔をみせる。
「――さ、お待たせしましたちはやさん。行きましょうか!」
「腹も減ったしな」
「え、あ、うん」
二人が『アルテミス』と『ケルベロス』という二つ名を付けられた理由を垣間見たちはや。
『アルテミス』と『ケルベロス』は普段と変わらない様子でちはやと並んで目的地[SAKURA]へと歩みを進める。
――付けられたその名には、理由があるんだよ
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何が書きたかったか自分でもわかりませんごめんなさい←
雪華と歩が二つ名をつけられた理由はね…強さ以外にもありますはい(笑)
ちはやさんの口調これで大丈夫か不安…(;゙゚ω゚)
シム様、ちはやさんお借りしました!