初めて裁判を傍聴した。
異様な光景。
映画の中のモノだった世界が目の前に広がる。
人を殺めた、それも紛れも無い人。
自分と同じ人間。
もっと恐ろしいものだと思っていた。
見たこともない何かがあると思っていた。
だけど、目があって、口があって、手足があって、息をしていて、
自分と変わりのない人だった。
検察官の女性が姿勢良く、聞き取りやすい声で、ハッキリと令状を読みあげる様。
鼻声で、少し動きが特徴的な被告人の弁護士。
裁かれる人を見る傍観者。
目の前にある光景に、頭の中で響き渡るいろんな声。
自分の身内じゃないから、冷静に見ていられることへの違和感。
人で生まれて、人として生きいて、人として死ぬ。
生まれて初めての経験は、言葉で表せないくらいの、重たい何かがのしかかった。
重たい何かが何かは分からない。
明日からまた仕事だ。
寝なくては。