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右肩が大きく下がった後ろ姿


初めて裁判を傍聴した。


異様な光景。


映画の中のモノだった世界が目の前に広がる。



人を殺めた、それも紛れも無い人。



自分と同じ人間。



もっと恐ろしいものだと思っていた。


見たこともない何かがあると思っていた。



だけど、目があって、口があって、手足があって、息をしていて、

自分と変わりのない人だった。




検察官の女性が姿勢良く、聞き取りやすい声で、ハッキリと令状を読みあげる様。


鼻声で、少し動きが特徴的な被告人の弁護士。


裁かれる人を見る傍観者。




目の前にある光景に、頭の中で響き渡るいろんな声。




自分の身内じゃないから、冷静に見ていられることへの違和感。



人で生まれて、人として生きいて、人として死ぬ。



生まれて初めての経験は、言葉で表せないくらいの、重たい何かがのしかかった。



重たい何かが何かは分からない。



明日からまた仕事だ。

寝なくては。

自分の緑と黒が混ざった箇所



ホントはね、



自分や誰かが思うよりもずーっと普通の人間なんだと思う。




愉快な自分を演じていることに、最近なんだか飽きてきた。




人の笑う顔が好きだから、本当の私を知った時の相手の反応が怖いから。



だから私はいつしか演じてばかりで、自分の淡い色の大事にしていた箇所に、緑と黒が混ざった濃い箇所に侵食されていることに気づいた。




本当はずっと前から気づいていた、だけど、怖くて。淡い色の箇所が無くなったら本当に自分の思いが無くなってしまうような気がして、見て見ぬ振りをしていた。





大好きなはずの人といても、自分を偽る。
大好きなはずの音楽を聴いていても、感動しない。
大好きなご飯を食べても、美味しいい以外に何も感じない。





退屈が幸せだと言う人がいる。

日本に住んでいるから平和ボケしているんだと咎められる。

いつでも帰ってきていいんだよと言ってもらえる故郷があって、働いてお金が稼げて、休みの日があって、住む家があって、休みの日はお酒を飲んでいて、その他に何かを求めるのは贅沢だと感じることもある。





誰かに本当の私を評価されることに怯えながら偽っているのに、本当の自分を受け入れて欲しいと願う矛盾。





私はどうしたら嘘を吐かずに生きていけるのだろう。毎日吐いた嘘のメモでもしていけばいいのだろうか。



病気と言われれば楽になるのか。
薬を飲んで楽になれるのか。



私は自分を守ることだけに必死な癖に、チープなヒーロー気取って誰かを少しだけ笑顔にする事で、スーパーマンにでもなった気でいるんだろうな。





私は一体何者なのか。



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