一生懸命に生きている。
心に、ひ弱で膝を抱えている少女を飼いながら、
少女を守るために、これ以上少女が悲しくならないように、大きくてにっこり笑う黒いピエロのお面をつけて。私は強く、一生懸命に生きている。
今日も一日頑張って、
また明日も頑張る日。
そんな日常が、ぐらっと揺れた。
あの頃に戻るかのように引き連れられる火曜日。
腕のなんてことない青痣を見つけて私の手を引く。
「誰にやられた。男か」
眉間に皺を寄せて、そう言う。
「違うよ。ぶつけただけ」
「そうか。気をつけろよ」
そう言ってすぐに手は解き放たれた。
一瞬で熱くなる腕。
今も未来も無くなったかのように、引き戻される時間。
心臓が活発になり、確信へと変わってしまう今。
“あなたがいい。私は全部あなたとがいい。”
と。
少し歳をとったね。
皺が増えていたね。
私が知らない顔になっていくんだね。
私も変わったよ。
たくさん笑うし、たくさん話すし、
たくさん嘘をつく。
私も彼の知らない私になっていくんだね。
だけど、過去も今も少女は膝を抱えているよ。
前よりもずっと力強く抱えている。
だってあの頃は、あなたがいつも怒って泣いて笑って私を助けてくれていたから。
今はもういないもん。
誰もいない。
だから私は一生懸命に生きるしかない。
ただ、「好き」を追いかけられる。
何もない、これしかないんだ。と言える人。
かっこいい。
うらやましい。
私は好きを隠して嫌いを共有する
一番なりたくない大人になった。
ただ笑って、
周りに調和して、
嫌いを共有して、
一通りの仕事をして。
私なんてただそれしかない。
それなのに昇進して役職がついた。
うれしい、認められた。って思いも少しはあった。がんばったから。単純に楽しかったから。
けれど、今の情けない自分。
信頼ゼロ。
会議前に話し合いを重ねて、納得して、会議に挑んだ。
その話し合いをした張本人が、なぜか反対意見を言い、会議で議決された。
笑えるでしょう。
このプロジェクトにどれだけの時間と労力を使ったの?
笑える。
本当に笑える。
周りは、みんな槍をもっているようにしかみえない。
いつも首に突きつけられている感じ。
ださい。
かっこわるい。
これからどうすればいいのかな〜
仕事もうまくいかないし〜
好きな人がいるわけでもないし〜
なんか砂漠だ。こころ。
からっから