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妄想してしまった…。

今、源氏物語の授業を取っています。
なんだかね、授業中は妄想しまくってますw
だって、楽しいんだもん。←
特に六条御息所との出会いはあまりはっきり書かれてなくて、妄想のし甲斐がありますw
それで、ちょっと書いてみた。
でも、妄想だからまとまりはないです\(^q^)/
あと、光源氏がくさいですw
私の中の光源氏様は、砂吐くくらいくさいのですよ…。
この駄文何とかならないかな…。


源氏物語「伊勢巻」

もうずいぶん昔のことです。
私がまだ都に住んでいた頃のこと。
あれは桜舞う四月。
私は愛する人に先立たれ、この世に残っている意味はあるのだろかと自分に問い続ける毎日を送っていた。

夜。
四月の夜は暖かく、いつまでも起きていられるような気がした。
月に照らされた灰色の雲は細長く、時々月を見え隠れさせる。

月など出なかったら良いのに…。

夜の闇がそのまま私の心と溶ければいい。
そして、そのまま夜空に溶けて、あの方とお会いできたらいいのに…。

しかし、月の光がそうさせない。
私の心の闇に差し込む、心もとない希望のような寂光。
もう、希望なんて…。

そんな物思いに耽っていると、カサリという音が聞こえた。
私はとっさに袖で顔を隠した。
「申し訳ない。驚かせてしまいましたね」
若い、男の声である。
「あなたはどなたですか?」
「私は源氏と申します。この桜の花びらに誘われて、ここまで迷い込んでしまいました」
源氏…宮中でも有名なあの光源氏様…。
「…そうですか。すぐそこに通りへ出る扉があります。どうぞそちらから…」
私は顔を袖で隠しながら、そっと扉のある方向を指さした。
「もう帰れと申されますか」
光源氏様はクスクス笑いながら、こちらに近づいているようだった。
「そういう訳ではありません。
しかし、この時刻です。あなたのような高貴な方が、私のようなもののところへ来たという噂が立ちましたら、出世の妨げになるでしょう」
「私はまだまだあなた様のような方と正式にお話しできるような身分ではございません。
しかし、月に照らされたあなたを見てしまった。
私の心から離れないのです。
ですから、お顔をもう一度近くで見たいのです」

私は袖で顔を隠しながら、考えていた。
どうして、光源氏様は私のところへ来たのだろうか…。
私のような未亡人に会いにきてくださる方なんて、滅多にない。
一体何故…。

「どうして、ここに来たのか…。気になりますか?」

光源氏様の言葉に私はドキリとした。

「今朝、この通りで朝顔が見たのです」
「は?」
「咲いてるでしょう?」
「…今は春でございます」
「いいえ。咲いてたのです」
「どこに?」
「あなた」
「私?」
「本当はあなたのことを朝、見たのです」
「…失礼なお方」
「私は花が好きだから」
また光源氏様はくすくすと笑った。
「また見たいのです」
「朝顔は夏の朝しか咲きません」

「いいえ。咲きます」

私は顔を隠していた袖を降ろしかけていました。

「顔を隠す花はありません。だから、きっと…」


今思えば、この時に、この言葉に、揺らがなければ良かったのです。
そうすれば、あのようなことにはならなかったのです。

そのまま私は枯れればよかったのに…。
しかし、それができなかった。

―――この夜から、光源氏様が私の希望となってしまったのだから…。

 


more..!

なんだか眠れないから。

久しぶりに詩でも書こうかなと思い、書いてみることにします。
暗いかどうかはわからないけど。




――不安――

たとえば、

柱の木目が目に見えたり、

木の壁の年輪は葬列に見えたり、

微妙に開いたカーテンの隙間が気になったり、

屋根の軋みが聞こえたり、

寒い夜空のもと、子猫が泣いていたり、

時計の秒針が余計に大きく聞こえたり、


そんな不安の波に転がりながら、
やがて眠りの水底に沈んでいく。

不安の波音が近づいてくる。

静かに…静かに…

やってくるのだ。










わけわからん\(^o^)/
ただの駄文でヲワタorz

林檎唄

生まれは青森、育ちはどこかの片田舎。

林檎仲間にゃ嘘ぶくが、ホントは知らぬ我が故郷

たかが林檎が嘘なぞつくか、人間様にゃ分からない

林檎なんて嘘つくものよ。
だから林檎は真っ赤っか。
だから林檎は甘いのさ。

あたしの乗った段ボール。
書いてある字は「青森」さ。
林檎の王国「青森」さ。

ホントに青森なのかしらん?
生まれたとこなど見たことない。
親の木さえ見たことない。

車に揺られ、4時間半。
林檎に時間がわかるのか?
人間様を真似たまでよとまたまた嘘つき。

市場に着いて、横になる。
明るい朝日が眩しいわ。

「形はいいが、大きさが…」
林檎は見た目じゃないことよ。

「こいつはいいな、こいつがいい」
隣のあの子を持っていく。
確かにあの子は形はいいよ。
艶もあるし、良い香り。

でもダメだ。赤くない。
うんと赤くないと林檎じゃないよ。

こいつや、あいつや…
持ってかれるは、お隣りばかり。
どいつもこいつも赤くない。
どいつもこいつも見る目がない。

残ったあたしはどうなるか。
人間様におまかせよ。

ちょっと末路が気になって、ひょいとそこらを見てみると
市場も終わり、ポイポイ、ポイポイ。
残った野菜はどこかへと、連れてかれて、さようなら。

あたしら食べもんにしてみれば、胃袋天国、その他は地獄。
胃袋以外は行きたくない。

そしたらさ、神様降臨、これ本当。

あたしらブスを買ったのさ。
あなたは神様?仏様?

いやいや人間、人間様よ。

またもやあたしは青森の箱に乗せられ小1時間。
着いた先は、これまた田舎。

今度こそは胃袋かしらと、食べられるのを待っている。

ずっとずっと待っているのに、なかなかその時やって来ない。

なにやら甘い匂いする。
蜜とは違う甘い匂い。

あたしら大きな桶でじゃぶじゃぶじゃぶ。
あたしら体をぶつけ合い、かすり傷がちらほら、ちらほら。
見た目重視の人間様だ、食べなかったらどうしよう。

そんな心配よそにして、人間様は割り箸なんかを刺しだした。

サクリサクリと刺していく。
芯の中まで入ったよ。

傷の心配ご無用でした。
あたしは飴になるようです。

グツグツ煮えた飴の中をくぐりくぐりしたならば、傷もきえるし甘さも倍増。
一石二鳥とはまさにこの事。

……………。
欲を言うなら、本当はあたしのまんま食べられたい。
赤いおべべ(服)はいらないよ。
あたしの果肉を邪魔するだけさ。

お天道様も赤くなり、いつの間にやら人ばかり。

楽しいお囃子聞こえては、あたしも体を揺らしてみたが、「あんたちょっとは静かにしなよ」とお隣りさんに怒られた。
こんな楽しいところまで来れたあたしは幸せ者。

祭の夜風に浸っていると、べちょりと何かが落ちる音。

お好み焼きが落ちている。
キャベツに卵に小麦粉に、紅のしょうがをちらほらと青いのりもついている。

食べもん同士さ。
見りゃわかる。

ぼんやり上を向いている。
お好み焼きに明日はない。

ちょいと向こうを向いてみる。
今度はポテトだ、フライドポテト。
踏まれたあいつは半分をマッシュポテトにされちゃった。

あたしはマシな方かもしれない。
だって形は林檎だもん。
あいつら、元の形が分からんもん。

食べてくれたら、それでいい。
果肉を褒めたら、なおよろしい。

本当は芯まで食べてほしい。

果肉は当然、芯まであたし。

そんな人がいるもんか。
一番美味しい今夜こそ賭けてみたいの、林檎心。
今夜、あたしの林檎道、貫くときがやってきた。

もしも芯まで食べたなら、あんたの幸福 祈ってあげる。
体の中から祈ってあげる。
そういうところは人間様とは違うでしょ?

早くこんな服など破ってしまって、あたしの果肉を食べてほしい。

祭囃子に誘われて、甘い匂いに誘われて、早く来てくれ、あんた様。


この晩に、あたしがちゃんと天国に行けたかどうかは、教えない。

知りたきゃ、自分で確かめな。


果肉は当然、芯まであたし。








最近、小説も詩も書いてなかったので、リハビリ(にもなってないが)程度に書いてみました。

不自然に韻を踏んでみました(笑)←

林檎飴は毎回祭があると買っちゃうんですよねー。あと、ベビーカステラも。
皆さんは祭に行くと絶対買っちゃうものってありますか?

あたしは買ってすぐには食べなくて、冷蔵庫に置いておいて、次の日に食べます。
この作品を書いている時、私は林檎飴に申し訳ないことをしていたのかもと思いました。
林檎としても食べてもらえなかった彼女たちは、林檎飴として生まれ変わった。
でも、その林檎飴さえも美味しい時に食べてもらえない…。

そんなことを考えてたら、この作品が生まれました。

気持ちが薄れないうちに書いたら、こんな時間に(笑)

それでは、ここまでとんでもない駄文を読んでいただき、ありがとうございました♪

あとがき(1周年記念第三弾)

半年もお待たせしてしまってすみませんm(__)m

ちゃんとリクエストに添えているでしょうか…;;
もう一つの方も同時進行で進んでおりますので、もう少し待っていただけたらと思っております。

衣良さん、リクエストありがとうございました!




今回のテーマ、長靴を履いた猫はヨーロッパの民話で、後にシャルル・ペローという作家が寓話集として出版し、グリム童話では「靴はき猫」として収録されていたそうです。
シチリア島という島では同じ話で狐が主人公の話があるそうです。

こういう物語や神話って違う国でも同じような話がたくさんありますよね。
古事記の中にあるイザナギ、イザナミの話とギリシャ神話でも同じような話があります。
共通しているのは「見るなのタブー」

鶴の恩返しのように「決して覗かないでください」みたいな決まり事を「見るなのタブー」と言うそうです。

でも、見るなって言われると見たくなるのが人の性。
結局、見ちゃうんですよね(笑)

それにしても、見てしまう方が悪いのに、いつも見られた側が逃げてしまっているパターンが多いような気がする…。
何ででしょうね(´`)??

1周年企画小説(第三弾)

鐘の音が、五月の風に乗って町中に響いていた。

私は教会を抜け出し、静かな河原まで来た。
ここにはたくさんの花が咲く。
きっと"彼"もここに来てるはず。

彼も私と同じで、騒がしい所が嫌いだから。

彼は川辺に座り、自分の履いていた赤い長靴を流していた。


「…どうして?」



――――――

いつも綺麗な服を着て、いつも美味しい食事をして、いつも部屋で勉強して……

なんてつまらない日常なのかしら。

王族の生活なんてつまらない。
綺麗なクッキーの空き缶と一緒。
綺麗なクッキーの缶を開けてみても、美味しいクッキーは一枚も入ってないの。
すごーくがっかりじゃない?

中身無しの人生。


そんな私の人生を変えてくれたのが、彼なの。


私が部屋で数学の行列に関する頁を読んでいたら、彼が窓の外を歩いていた。

赤い長靴に縁の大きい赤い帽子、手には鳥を持っている。
その時は帽子のせいで顔を見ることができなかった。

私はそっと部屋を抜け出し、「玉座の間」のドアの隙間から様子を伺った。

「国王様、お初にお目にかかります。
私はカラバ侯爵の使者です。
これはカラバ侯爵からでございます」
そういって彼は、鳥を差し出した。
「これはありがたい、頂くとしよう」
お父様は家来に、鳥を今夜のディナーに使うよう命じた。

そしてやっと彼の顔を見ることができた。

エメラルドグリーンの瞳に灰色の毛並、立派なヒゲ、そして帽子を取った頭には可愛らしい猫耳。

彼は二足歩行の、赤い長靴を履いた猫だったのだ。

猫は長靴なんて履かないし、言葉も喋らない。
まさに奇妙奇天烈なことが目の前で起こっていた。
お父様は目が患ってらっしゃるから、ちゃんと見えていないし、家来は家来でお父様の命令が無ければ、追い出すこともできない。

私は何だか楽しい気分になった。

彼は変えてくれるのかも。

空っぽの人生からクッキーいっぱいの人生へ。



――――――

それから私は彼を観察してみた。

彼は野原に出かけ、ウサギ用の罠を仕掛け、鋭い目で獲物を待っていた。

そして、ウサギを二羽仕留めると、またお父様の所に着てウサギを献上した。

次の日もそのまた次の日も、お父様の所に来てはウサギや鳥を献上していた。


一体、彼は何が目的なのかしら…。



――――――

毎日のように獲物を献上したから、お父様はついに「カラバ侯爵にお会いしたい」と彼に言った。

彼はエメラルドグリーンの瞳をキラリと輝かせた。
それは獲物が罠に飛び込んできた時に見せる目だった。
私はいつも彼の瞳を見ていたから分かる。
彼はお父様を捕まえる為に、罠を張っていたのね。

…どうして彼はお父様を捕まえようとしているのかしら…?
捕まえたとして、お父様をどうしようとするのかしら?

私はドアを開けて、お父様の手を取った。

「お父様、私もカラバ侯爵に会いたいわ」

私は飛びきりの甘えた声で言った。
彼は少し予想外だったらしく、目を一瞬見開いたが、またすぐにいつもの目に戻った。

「では明日、馬車で侯爵の屋敷へいらして下さい」
彼は屋敷の場所をお父様に教えた。
しかし、その場所は鬼が棲むという森のど真ん中に建っているのだという。

「平気ですよ。鬼はもういませんから」

彼はにこりと笑って一礼し、城を去っていった。



――――――

その晩、私は町の教会の近くを流れる川を訪れた。

「満月ね…」

「いいえ、満月は明日」

聴き慣れた声に私は振り返る。

「あらまぁ、こんばんは」

「こんばんはローザ姫。
いけない人だな、こんな夜遅くにお城を抜け出すなんて」

「こんなのしょっちゅうよ」

いけない人だなぁ…とまた彼は呟いた。

「そういう貴方はどうしてここにいるの?
カラバ侯爵の所に居なきゃいけないんじゃないの?」

「カラバ侯爵はしっかりしてらっしゃるので付きっきりじゃなくても良いんです」

「本当に鬼は棲んでないんでしょうね」

「棲んでません」

「…貴方はどうして毎日あの野原で狩をしているの?」

彼のエメラルドの瞳が丸くなった。
「見てたのですか」と彼は溜め息混じりに呟いた。

「私で良ければ、お手伝いして差し上げてもよろしくてよ?」

彼は少しびっくりしていたが、またにこりと笑って、「是非お願いしたい」と頭を下げた。

「見返りはあるのかしら?」
私はおふざけで言ってみた。

「ローザ姫、貴方にはカラバ侯爵を献上いたしましょう」

彼は私の冗談に丁寧に頭を下げて答えた。
そして、私達は頬を寄せ合って明日の計画を練った。


――――――

明くる日、猫は飼い主の青年に綺麗な洋服を着せた。
そして、青年を鬼の棲み家の隣にある小さな小屋に隠した。

その次に猫は村の者達を「ここはカラバ侯爵の領地だと言え。言わないとお前達の畑をめちゃくちゃにしてしまうぞ!」と脅かしていった。…



――――――

私達は馬車に乗り、カラバ侯爵の屋敷へ向かっていた。

勿論、カラバ侯爵なんていない。
カラバ侯爵は彼の飼い主の青年。

お父様が馬車の中から村人達に尋ねる。
「ここは誰の土地かね?」
「カラバ侯爵の土地です」

計画は上手くいっているみたいだ。

「カラバ侯爵は本当に広い土地をお持ちのようだ」

お父様も上手い具合に騙されている。
さぁ、私の出番だ。
私の役目は屋敷への到着を遅らせることだから。

「お父様、あちらにたくさんの木の実が成っていますわ。見に行きましょう」
「お父様、綺麗なチューリップが咲いているわ。カラバ侯爵へのお土産に持っていきましょう」
「お父様、私、少しパンを持ってきましたのよ。少しお食べにならない?」

お父様は何でも笑って聞いてくれた。
1時間で着くはずの道のりをじっくり2時間かけてやって来たのだ。

そして、私にはもう一つの目的があった。

彼はどうやって鬼をやっつけるつもりなのかしら?

そんな事を考えていた時、馬車はゆっくりと屋敷の前で止まった。
鬱蒼(うっそう)とした森の中に佇む、大きな洋館。
壁には蔦が蔓延り(はびこり)、カラスが飛び立った。

「お父様、私、先に洋館を見てきますわ」
「私と行けばいいじゃないか」
「お父様は目が不自由でしょう?だから先に障害物があるかどうかを見てきます」
「ならば御者を連れていきなさい」
「分かったわ」
私は馬車を出で、御者に伝えた。

「私は先に出ますが、貴方はそこでお父様をお守りしていなさい」


――――――

鬼の棲み家にやってきた猫は、鬼にこう言った。
「貴方は大きな物に変身するのが得意らしいな」
「どんな大きな物でも変身できる」
鬼は胸を張った。
「では小さい物はどうだろう?」
「そんなものは簡単だ」
「じゃあ、あれに変身することもできるのかな?」…



――――――

私は馬車を離れ、洋館の裏手に回った。
そこには大きな窓があった。
長年掃除をしていないのかひどく汚れていた。
私はハンカチで窓を少し拭いて、中の様子を伺った。
長いテーブルの上にはたくさんの食事、銀の燭台にはろうそくが灯されていた。ゆらゆらと揺れる火は薄暗い館内をより気味悪いものにしていた。

もっと中を覗いてみると、彼ともう一人、大きな鬼が対峙していた。
このままいけば、彼は殺されてしまう。
でも昨夜、彼は「鬼は私が退治します。どうぞ明日は安心して来てください」と言っていた。
鬼と対峙している彼は決して怯えてなどいなかった。
彼は何か鬼に話かけていた。
鬼はそれを聞いて笑っていた。
そして、煙がぼわりと出てくると鬼は大きな大きな怪獣に変身していた。
しかし、猫は平然としている。
猫はまた何かを言っている。
また鬼も笑った。
また煙がぼわり。
今度は小さな小さなネズミの姿になっていた。
その瞬間彼の目はキラリと光り、鋭い爪でネズミの尻尾を絡めとり、自分の口の中に放りこんでしまった。

これが彼の本性。

私はそう思った。


――――――

猫が鬼を食べてしまった後、青年を洋館の中に入れ、王様とローザ姫を招きいれました。
王様はすっかり青年を気に入り、ローザ姫の婿になってくれと頼んだ。



――――――

カラバ侯爵と私は結婚式を挙げた。
約束通り、彼は私にカラバ侯爵を献上してくれたのだ。

私は教会をそっと抜け出し、あの夜の河原に行った。

すると、彼は長靴を脱ぎ、川に流していた。

「どうして…?」
私は唖然として聞くと、「私は人間ではないから」と笑った。
「ローザ姫、人間に身分相応というものがあるように、動物にも身分相応というものがあるのです。
私はこれ以上、長靴を履いてはいけないのです」

「どうして…?」

私は子どものように繰り返し聞いた。

「私のご主人様は貧乏人でした。
お父様が亡くなられ、遺産は兄弟で分けました。
長男は粉曳き小屋を、次男はロバを、そして三男のご主人様は飼い猫の私。
あまりにも不平等だ。
私は一生懸命知恵をしぼり、今回の計画を立てました。
計画は大成功だ。
カラバ侯爵は貴方のものになったのがその証拠。

貴方は王女、私は獣。
鬼を食った汚らわしい獣なのです」

長靴はどんどん流され、遂には見えなくなってしまった。
彼は元通りの四足歩行の猫になっていた。
私はそっと、彼を抱き締める。

「にゃあ…」

彼の声は、もう猫の声。


――――――

私は何年も経った今、彼を思い出す時がある。
それは、彼を抱き締めた時、並んで川を眺めている時、頬を寄せ合っている時だった。

彼はあれ以来、ネズミを遊びでしか捕らなくなった。

私が人間の食事をあげているからだ。




長靴を脱いだ彼は、ただの猫になりました。


(人間のように扱っていたら、彼が帰ってきてくれるかもしれないから)



fin…



story:長靴を履いた猫

title:長靴を脱いだ彼は、ただの猫になりました。(made in 夜猫)
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