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花の宴

花見をする事になった。
発端は、個人の依頼を終えたレオナが帰路に見つけた一本の木だ。可憐なピンク色の花をつけるがどうもその名がわからなかった。それを話したところ「見てみなきゃ分かんないよ!」という提案がジェーニャからあったのだ。一部の反対意見は棄却され、一同は花見に向かう。
その頼りなげな木が居座っていたのは郊外の川原であった。薄紅に飾られた枝を慎ましく広げたそれは、花弁を散らせながら一行を見下ろしていた。
「…これは見事な桜ですね」
儚い景色に目を奪われている一行の中で、まず口を開いたのは、最後まで出掛けるのを渋っていたヘカーテだった。
「桜桃ってこんな花なのか」
「食用の品種ではないですけどね。でも綺麗でしょう」
仰ぎ見る彼女はいつになく穏やかで、不機嫌だった先程までとは随分面持ちが変わっている。それに見惚れるアレスを見なかった事にしてマリーがぱちりと手を打った。
「さあ、名前も分かったしそろそろ始めましょ!」
その日花宴は日が隠れるまで続いた。酒に酔い歌い騒ぐ仲間から少し離れ、火照った頭を覚ましていたバロンはそんな光景にふ、と微笑する。
「…たまにはこんなのもいいなぁ」
風に舞った花びら一枚、静かにそのグラスの底に浮かんだ。

もうひとりの魔女

学長室の椅子はくるくるとよく回る。布張りの赤いソレは今日もまた主を乗せて仕事に励んでいるようだ。部屋中を浮遊する学術書をぼんやりと見上げていたマーナオであったが、いつになっても言葉を発しない部屋の主に業を煮やし堪らず声を掛けた。椅子の回転を止め積み上げられた学術書の間から笑顔の男が顔を覗かせる。
「来てくれてありがとねー」
水面のように反射する不思議な髪色をもつその男は掌で弄ぶように紙の束を宙に踊らせた。あああれは私の論文か、マーナオの視線がそれを掠める。
「『火炎魔法と術者の感情についての考察』。単純だけど奥深いテーマだね。それがよく論述されている、本当に頑張ったんだね…ってジン君が言ってたよ!あの捻くれ者がそう言うなんて凄い事だよー。あ、これだいぶ意訳してるからね。いやーさすがうちのホープ!優秀者なのは伊達じゃないねー」
学長の満面の笑みに対峙するマーナオは誇らしげに顔を綻ばせた。
ここまで長い道のりだった。親元を離れ身一つで学院に入学し、修行を重ねて何年になるだろう。見習いから学生へ、そして学生を修了して一人前の魔術師となった。そうして研究者となり賛辞を受ける。彼女にとってこれ以上にない目標であり、憧れであった。それがたかだか3年で達成されたのだ。故郷の父母に何と報告すれば良いだろう。切れ長のまなじりを朱に染めてマーナオの気持ちは高まっていく。
これからの未来に思いを馳せる彼女を温かく見つめながら、学長は更なる言葉を軽やかに放つ。
「君なら学会派遣のメンバーとして申し分ないだろうね」
「え…」
一息の間の後に、
「本当ですか!?」
書物の山を乗り越えてマーナオは声をあげる。期待と戸惑いが上下に分かれたような顔が近づくも変わらずあっけらかんとした様子で学長は頷いた。
「もちろん会議でどーなるかだけどね。この調子ならいけると思うよー。まぁ期待して待っててよ」
「ありがとうございます!!」
マーナオは勢い良く頭を下げ、にこにこと笑う学長を背にして部屋を出た。石造りの廊下に靴音を弾ませて研究に戻るその笑みははち切れんばかりのものだ。今夜は眠れそうにないな、友人達には全てが決まった後に伝えようか、と思考を巡らせる彼女の黒髪が跳ねる。その姿の向こう、窓外にはミモザの黄色が夜の闇に浮かび上がっていた。

そんなこんなで

4月になりましたね^^

2、3月で遅い就活にばたばたし4月からは新しい職場でばたばたし、やっと生活が落ち着いて参りました。Twitterにはちょくちょく顔出してたけどね。使いどころ未定のキャラを色々妄想したりね

まぁ転職が決まって良かったです。前のとこ残りたかったけど院に行けなかったししょうがない

またぼちぼち文章書いておりますので、無事完成させご報告できるよう頑張ります。いつもの如く小出しになると思うけども

追記
ペダル映画で巻島レン(仮)氏の声が聞けるかどうか、アルスラーンの漫画を買うべきか、上司の雷がいつ落ちるかが最近の悩みです
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