話題:江戸川乱歩

バイト先にかなりの蜘蛛が発生しているので、毎日退治に勤しんでいるんですが。



購入してからかなり時間が経ってしまいましたが、この作品を読み終えました。
このシリーズ、今はもう新しいのが出てたりするのかな。

アマゾンのレビューを見てみると、酷評されているものが幾つか見られますね…。
私は探偵小説は唯一江戸川乱歩ぐらいしか読まないので、読み慣れていない読者、つまりは察しが悪いと言いたいのですが。苦笑

乱歩の世界観やどんでん返し、今回も面白いなあと思って読んでいました。
単純に探偵小説よりも、怪奇小説の方に興味のある人間なので、蜘蛛男に描かれた乱歩のパノラマに魅せられたっていうのもあるんでしょうが。
蜘蛛男と明智氏のやり取りも面白いのですが、蜘蛛男の描き出そうとした(ないしは乱歩の夢想)、四十九人の女たちにより構成される大パノラマを想像すると、うっとりしてしまうんです。

乱歩作品には、探偵小説に見られる正義感の部分と、怪奇小説に見られる倒錯とがありますね。
長編小説ではそれを上手い具合に絡み合わせて物語が展開されていきますが、私はどうしても、倒錯の方に惹かれます。
もし乱歩が小説家じゃなく、本物の大犯罪者であったなら、誰よりも素晴らしい芸術を築き上げられたんじゃないかと、そんな事を考えてしまいます。