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初の挑戦

小説は長くても、中原の虹あたりが限界でした。長編に手を出すのは、ちょっと怖かったんですよね。
でも池波正太郎なら、類い希な読み易さで、その苦手意識を変えてくれるのではないかと。






剣客商売、まずは2巻まで読みました。
うーん面白い。

私がどうこう言うレベルではありません、本当に、数多の人を魅了した力ってのが解ります。
起承転結がしっかりしていて、物語の起伏も解り易い。緊張する場面と、思わず緩んでしまうような場面との、その差がね。

他に池波先生の有名な作品なら、鬼平や藤枝梅安などがありますが、何故剣客商売を選んだかというと、タイトルですかね。
あと、ちっちゃい頃、ドラマの再放送でよく見てました。
何分記憶は曖昧ななってますから、
「大次郎ってこんなにゴツかったっけ?」
とか思ったり。

一気に読みたくなる作品ですが、私は浮気症な奴なので、あっちこっち寄り道しながら読み進めていくと思います。


現在は三島由紀夫を読んでいて、三島の作品は、二十歳までに読破するのが目標だったりします。
こないだ江戸川乱歩も買ったので、それも読まねばなりません。

私って統一感がないなあ。笑



蕎麦を食べたい

時代小説を読むと、蕎麦をすすりたくなる。
そんな事を好きなブロガーさんが書いていましたが、気持ちが解るような気がします。


久し振りに藤沢周平を読みました。



以前に読んだ作品が、蝉しぐれとたそがれ清兵衛しかなかったんです。
藤沢周平=清々しい水のようなイメージ
だったのですが。
この短編集では様々なタイプの物語が描かれていて、良い意味で、イメージを覆されましたね。
やはり読んでいて胸がホッとするものもあり、スリリングなものや、少し結末が物悲しいものもありましたね。

全部話していたらまた長くなってしまうので、抜粋して語りたいと思います。


中でも一番のお気に入りは、臍曲がり新左です。
功績もあって腕も立つ人なのに、皮肉屋な性格からして、周りに疎まれている。そのせいで娘に縁談もない。
という所から始まるのですが。

ある事件が起こって、新左は往年の姿を蘇えらせるような大活躍。
それを経て、隣の家の親しくしていた男と娘がゴールイン。

ああなんて上手く話が出来ないんだろう!

兎に角、ハッピーエンドの話で、心がほっこりするんです。
物語中滅多に笑わなかった新左が、傷付いた人に向ける優しい仕草や、最後の最後で見せた笑顔。
忽ちこの主人公が好きになってしまいましたね。

ドラマ化して欲しいなあ。いや既にした可能性はあるけど。
一番臍曲がりが似合う俳優さんって、誰だろう。笑


あとやはり、短編集のタイトルともなっている冤罪、これも面白かったです。

金を横領した罪で、主人公の日頃焦がれていた娘の父親が切腹となった。
初めは娘の行方が知りたくて調べ回っていた主人公だが、やがては上役の機密へと辿り着く。

ワクワクさせられる展開やストーリー、もう書き方が上手いんですね。本当に。
ちょっと書き方を下手にしてしまったら、先が見えてしまうかもしれないのに。そこはやはり文豪の凄さなのかなと。

終わり方もつい顔を綻ばせてしまうような、幸せな結末。
そりゃ全てが上手くいった訳じゃないですけど(というか冒頭で不幸に見舞われた訳だし)、でもこれから二人ならやっていける、そんな希望が、こっちまでも勇気付けさせてくれますね。

素晴らしい作品に触れました。
眼福の至りです。
あれ、使い方ちょっと違うかな。苦笑


次は、池波正太郎の剣客商売、いよいよ挑戦です!


恋と思想

三島氏の有名な作品で、まだ読んでない作品は沢山あるってのに、ついつい寄り道?してしまう私。

恋の都

タイトルだけ見ると、メンヘルな香りがしますがね。
でもオビの文字を読むと、
「戦争で彼は死んだ筈なのに…。」
こりゃ、ひとひねりあるなと思いました。


内容は、かなり読み易くて、書かれた登場の風俗や若者の姿が描かれているというものでした。
堅苦しい表現とか、煌びやか過ぎる感じもなかったし。

でも、どこか三島氏の考える戦争観というか、そういったものの片鱗が垣間見えましたね。
ただの恋物語なんかじゃなくて、主人公を渦巻く環境、恋人の変貌ぶりなど。
直接的な書き方はしていなくても、三島氏の思想が、あちらこちらに練り込まれていました。

ラストシーンですが。
最後の最後まで、どっちになるのか解りませんでしたね。
でもああいう結末になったというのは、「時代とはこういうものだ」と三島氏が示唆しているように思えました。
まあ読者の立場からしても、その選択の方が、スッキリ出来たと思いますしね。

数ある名作の中から

私が趣味を語り出すと、押し付けみたいになってしまうので、人前ではあまり話したりしません。
(そう思ってるのは私だけで、周りはうんざりしてるかもしれんが。)

まあブログなんで、その押し付けがましいのも許されるという事で。




ある時、人と話していて「耳なし芳一」ってなんだっけ?という話題が出て、この本には小泉八雲の同名タイトルの話が収録されていて、買ったのがきっかけです。
大好きな浅田氏が選んだ、大好きな話なんだからと、期待を膨らませて読みました。

百物語/森 鴎外
私は夏目漱石が駄目です。読めません。
なので森 鴎外も、残念ながら苦手分野に入ってしまいました。
読むには読んで、話も上手く練られているなとは思うんですが、どうにも読み進めるのが困難で。
最初から挫けかけました。

秘密/谷崎潤一郎
この本で唯一、以前読んだ事がある短編でした。
初めはそれと忘れて読んでいたんですがね。途中で、「この次の展開が解る」と漸く思い出しました。
私は作品をもう一度読み返したりは滅多にしないんですが、この作品は、二度目でも面白さが色褪せませんでしたね。ぞくぞくしました。

疑惑/芥川龍之介
芥川龍之介の文章や世界観は好きなのですが、それでもスラスラ読める作品ではなかったですね。気合いを入れながら読みました。
まだ沢山の話を読んだ事はないんですけど、空気感、みたいなものが未だに掴めませんね。
この作品を読んで、「こんな話も書くんだ」と思わされました。

死体紹介人/川端康成
川端も、得意ではない分野に入るのですが。
でも、最初から入り易くはなくても、段々とのめり込ませる力のある文章ですね。
この作品も奇妙な話です。
あと、女性観に関しては古い感じを受けましたが、話の内容は、古いものだと感じられないぐらいでした。

山月記・狐憑/中島敦
文章の書き方が古い型だし、漢字がやたら沢山あるし、最初はうわっと思いました。
山月記は教科書に出てるらしいですが、あったっけと、私には記憶がないぐらいです。
話の内容は、狐憑の方が好きですね。読み易いし。人間の軽薄さと残酷な面が、短い話の中に凝縮されていて、上手いなあと思いました。

ひとごろし/山本周五郎
この本の中で一番面白いと思ったのが、このひとごろしです。
個人的に時代劇が好きっていうのもあるんですがね。それに、文章がスラスラと自分の中に入ってくるんです。時代ものを書く人は、一貫した上手さがあるように思います。
見た事もない時代でも、情景がありありと思い浮かべられるんです。
主人公が「ひとごろしー!」と叫びながら逃げ回る姿が、頭の中ではっきりと描く事が出来て、滑稽でつい笑ってしまいました。

青梅雨/永井龍男
一家心中してしまう話なんでしが。短めな話だし、印象が薄いですかね。
心中する前の、家族の日常。そこから僅かな翳りとか不安とかを、文章から読み取るみたいな形なんすかね。
うーん。

補陀落渡海記/井上 靖
これは井上 靖の書き方が上手いからなんでしょうか、情景やら人物の表示などが、スッと自分の中に入ってくるようでした。
海を渡った坊さんの中で、立派な人もいたり、理解し難いのもいたり。中でも、自分からではなく周りに押し切られて、渡海を決められてしまった主人公。悩む背中が、容易に思い浮かべる事が出来ました。

西郷札/松本清張
松本清張も、作るのが上手い人ですよね。
絡み合う人間の思惑が、色々な場面で交錯していく。話を作っていて、よくこんがらないものだなと、上手いもんです。
この作品も、人間の浅はかさや醜さが、浮き彫りになっていますね。それは今も変わらない事で、ある意味風刺なのかもしれません。

赤い駱駝/梅崎春生
これは面白い面白くないではなく、兎に角、印象に残った作品です。
浅田氏も述べた通り、読んでいる最中は「ねっとり」した感じがしました。
何気ない思想が、やがて狂気へと変わっていく。人間、特殊な状況に置かれると、どうなってしまうか解らないですからね。
でも、主人公の気持ちが解るようで解らない、自分がいます。

手/立原正秋
これもなかなか、奇抜というか奇妙な話です。
よくよく考え過ぎてしまうと、「これは死姦願望なんじゃないか?」とかいうところに辿り着きました。絶対に考え過ぎでしょうけどね。

耳なし芳一のはなし/小泉八雲
この本の中で、一番好きな話ですね。同じようなフレーズを使ったかもしれませんが。笑
これは昔からあった話なんでしょうけど、小泉八雲の視点だからこそ、描けたものなのかもしれませんね。


ああ長かった!
頑張ったよ私!

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