「―――――」
声が、聞こえる
「―――――」
街の雑踏の中のように、いくつもの声が聞こえる
「―――――」
俺の名を呼びながら何か言葉を叫ぶ。
俺の名以外は重なり混じり合って何を言っているかはわからないが、この声達の含む感情を、俺は知っている
『慟哭』
『怨嗟』
『痛哭』
『暗然』
『絶望』
『失意』
「―――――」
そして、
「――何故俺達は生かされずお前だけ生きているんだ」
『嫉妬』と、そして、
「ねぇ、―――――?」
「――那魄!!」
ルークの声で一気に意識が浮上する。
目を開けば、俺が目を覚ました事に安堵したのか顔を覗き込んでいたルークが安心した表情で息を吐いた。
「凄いうなされてたぞお前…大丈夫か?」
「ああ…呼ばれて、言葉を聞いていただけだ」
「言葉…?誰のだよ」
怪訝そうに蒼い瞳で見つめてくるルークから視線をそらし、真っ暗な部屋の中天井を見つめて答える。
「――兄弟だ」
夢から覚める寸前に聞こえた、俺によく似た姿をした『兄弟』に俺によく似た声で紡がれた言葉は、
「――自分だけ生きる事を望まれて生かされ、『兄弟』の中で自分だけ幸せになった気分はどう?『兄弟』」
――『嘲笑』を含んだ『侮蔑』だった
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その声はまるで、今の俺を見ているかのような口ぶりで、